第6章 爆豪くんのいない四日間
「遅せぇんだよクソが!」
四日間の謹慎が明け、久しぶりに掛けられた第一声がそれだった。いつもより少し早く準備したつもりだったんだけどな。
「ごめんなさい。えっと、その…おかえりなさい。」
〝ただいま〟なんて台詞が返ってくるとは思っていなかったが、なんて声を掛けるか悩んだ末に出た台詞はそれだけだった。案の定舌打ちをされて終わった。
「あのね、爆豪くん。これ、もし良かったらなんだけど、爆豪くんが謹慎中の授業のノート…。」
違う。昔の私はこんな話し方じゃなかった。昔の私が自分の事をどう思っていたかは分からないし、何を考えていたか分からない。けど、緑谷くんの中での私は、今の私みたいにオドオドしたり、自信が無かったりそんな素振りは見せていなかった。凛としていて、凄く真っ直ぐだった。
「授業のノート爆豪くんの分も取ったから!爆豪くんみたいに上手く要点を纏められてるワケじゃ無いけど、自分なりに頑張ったつもりだから!あと、謹慎中の学校の事で聞きたい事があったらなんでも聞いて!」
中学生になってからの緑谷くんの記憶に三人一緒に過ごした記憶は無かった。だからどんな風に私が爆豪くんに接してたかは分からない。だけど、昔の私なら多少ウザがられてもこうやって無理矢理爆豪くんにノートを押し付けただろう。