第6章 爆豪くんのいない四日間
「テメェ…デクの記憶でも覗いたんか?」
「え?」
「昔も今もデク、デクって…クソナードがそんなにいいんか!?ああ"!?」
「緑谷くんは私の幼馴染みで…頼れるのは緑谷くんと爆豪くんだけだから、」
「それが気に食わねえって言ってんだろうが!」
私は記憶を失くす前の自分を装えば、何か思い出せるかもしれない。そう思って取った言動なのに、どうしてそれを怒られなきゃいけないのか分からない。記憶が欠落してると知った時、私の中は空っぽだったけど、今は違う。失った記憶を取り戻したい。爆豪くんと緑谷くんの事。両親の事。あの日の事。
「ちょっと!何で爆豪くん、そんなに怒ってるん!?」
いつにも増して怒りを露わにする爆豪くんと私の間にお茶子ちゃんが入ってくれた。
「若いうちからそんな眉間に皺寄せてたらとれんくなるよ?」
「うっせえ、丸顔!邪魔だ!どけ!」
そう言って爆豪くんは私の手を引いてスタスタと歩き出した。
「爆豪くん!離して…!」
心配して間に入ってきてくれたらお茶子ちゃんをそのまま無視して行くわけには行かない。掴まれた手を振りほどこうと試みるがビクともしない。
「よそ見ばっかしてんじゃねえよ。」
かぶりつくようなキスで唇を塞がれた。それを見ていたお茶子ちゃんは短い悲鳴を上げた。
「なんで…っ!?」
「テメェの頭で考えろ。」
爆豪くんの謹慎が終わり、また私の隣に爆豪くんが戻って来た。緑谷くんに記憶を見せてもらったおかげで前より少し爆豪くんについて知れた気がしたけど、やっぱり爆豪くんが分からない。