第21章 ヒューマンオークション会場
後ろを振り向くと、ナミ達は打ちひしがれた様な顔をしていた。
それもそうだ。
彼女達は、大金をはたいてでも攫われたケイミーを取り戻すつもりだった。
それなのに、娯楽の為に訪れていた天竜人に5億というとてつもない金額を掲げられてしまった。
準備していたのは2億。とても敵わない。
他の客達もひどく落胆している。
5億以上の声は上がらない。
ナミ達は何か手は無いかと焦って、追い詰められている。
そんな顔を見て、カナエは居ても立ってもいられない。でも、自分に何か出来るとも思えない。何の力も無い自分に。
それに、ここにはもうすぐ彼等が来る。
(大丈夫……!皆、大丈夫だから……!)
「くだらねェ……」
ローは冷ややかな目をステージに向けていた。視線の先は、ステージ後方にピンと張られた幕。
そこにはある海賊のマークが描かれていた。
(そう言えばここは………)
その海賊はドンキホーテ・ドフラミンゴ。
このオークション会場はドフラミンゴの息がかかっている。
ローはただの見学だと言っていたが、何か思惑があったのだろうか。
『ねぇ、ロー………どうして……………』
「?」
聞けない………私が踏み込んではいけない気がした。
『何でも無いっ!』
「何だお前………」
その時、競り終了を告げるゴングの音が会場に鳴り響いた。
《時間いっぱいです!それでは本日の大目玉!!”人魚”のケイミーは世界貴族チャルロス聖の5億ベリーにてー》
「ああああああ」
「ん?」
入り口付近にいたキッド海賊団。
まるでこの世の縮図。もう見る必要は無いと、会場を後にしようとしていた。
「ああああああああ!!!」
「何だ」
「ぎゃああああ~~~!!!」
「!!?」
天井から、トビウオに乗ったルフィとゾロが降ってきた。
「何だお前もっとうまく着陸しろよ!!」
「できるか!!トビウオだぞ おめーが突っ込めっつったんだろ!!?」
「だからとにかく乗れって……言うがお前らサニー号に戻るのに何をそんなに急いでんだよ……ここどこだ?」
上から落ちて来ただけでも騒ぎになっているのに、当の本人達は更に大騒ぎ。
キッドはルフィに気付いている。
「あいつ……”麦わらのルフィ”じゃ………」
カナエは勿論、この反応。
『きた~~~~~~~~~~!!!』