第21章 ヒューマンオークション会場
「一晩寝た位でカナエの男気取りか?調子に乗んなよ、トラファルガー!」
「悔しいのか?ユースタス屋。」
「あァ?悔しいも何も、てめェに負けたとは思っちゃいねぇよ。」
「もう負けてんだよ。こいつは俺を受け入れたんだ。」
「俺が気持ち良くさせてやった後だからじゃねェのか?中途半端な所でてめェが割り込んで来たから、疼いて仕方無かったんだよ。」
「カナエはそんな淫乱じゃ無ェ。」
「そんな事は言って無ェよ。俺のおかげだって言ってんだ!」
「そうだな………」
「あァ!?」
「良いか悪いかは別にして、てめェがきっかけになった。………………礼を言う。」
「てめェェェェ!!!」
ローは勝ち誇った笑みを浮かべていた。キッドは額に立てた青筋がブチブチと切れてしまいそうだった。
(私の為に争わないで!!!)
『なーんて言えるのは可憐な美少女か、麗しき美女だけだなぁ………ふふ』
カナエは二人の会話をどこか他人事に聞いていて、遠くを見ていた。
「「お前の話をしてんだよ!!」」
二人に突っ込まれたが、カナエは後ろから聞こえたベポの声が気になり振り向くと、黒マスクのダイスケがベポの肉球をぷにぷにしていた。
「何なのこの人ー!」
ベポは涙を浮かべて、助けて!と訴えている。しかし、特に危害の加える様子の無いダイスケに、止めるかどうか船員達は戸惑っている。
カナエはキッド達に攫われた時に思った事を聞いてみる事にした。ローがキレる前に。
『ダイスケさん、付かぬ事をお伺いしますが………このお話、読んでました?』
漫画の事。ワンピースと口にするとややこしくなりそうなので、カナエはオブラートに包んで聞いた。
「何故分かった………」
『私と反応が一緒なので……観覧車も乗りたかったんですもんね………』
「お前もか?」
『筋金入りです。』
ガシッ
何か通じ合った二人は力強く握手を交わした。 全員、不審な目を二人に向けている。
「何だ………こいつら………」
『ところで………皆がここにいるのは変だと思いません?』
「……!そう言えばそうだな……キッドの頭。」
「何だ!」
「あんたの立ち位置はここじゃない。」
「あァ!?」