第21章 ヒューマンオークション会場
「キャプテーン!!こっちこっちー!」
1番グローブのヒューマンオークション会場。
ローとカナエは、オークションが始まる30分程前に到着した。
入り口には既に、ベポ、ペンギン、シャチ、船員3、4、5が待っている。
「うおっ!カナエさん!船長とお揃いの帽子!イカすー!」
『あまり突っ込まないで…恥ずかしいから。』
会場に入ると、中は人で溢れていた。
席に着いてる客は皆、いかにもお金を持っていそうな人間ばかり。オークションの開始を今か今かと待ち侘びている。
「どいつもこいつも、卑しい面してやがる。」
『ロー!聞こえる!』
人身売買なんて正気の沙汰じゃない。それなのに、こんなに大勢の人が大金を抱えて集まって来ている。金持ちの道楽以外の何物でも無い。
ローが言った事はその通り。しかし、聞こえそうな声で言うのでカナエは焦っていた。
幸い賑やかな会場で誰にも聞こえる事は無く、一行は後列に席を陣取る。通路側からカナエ、ロー、ペンギンと座り、後ろにはベポやシャチ、その他大勢が席に着いた。ローは鬼哭をベポに預けている。
(ベポってば………信頼されてるんだな。それはそうと………何か緊張してきた………!!!)
きっと今頃麦わらの一味は、あの舞台裏にいる人魚のケイミーを探して飛び回っているはず。オークションが始まったら、全員ここに集結する!どうしよう!!私は正気でいられるのか!?ってか、舞台裏にはレイリーさんが確実にいるではないか!!今すぐあっちに行きたい!!!
(はっ………。待てよ………。ここにはもうすぐ………)
『ロー、ごめん………私、来ない方が良かったかな………』
カナエは青褪めていた。他の事で頭がいっぱいで、ここには顔を合わせたくない人物が現れるのをすっかり忘れていた。
「どうした。気分でも悪いか?」
『ヤツが来る………!!!』
すると背後から足音が聞こえた。
近付いて来たと思うと、カナエの横にドカッと遠慮無く座る派手な男。
「よォ………カナエ!ここで会えるとは思ってなかったぜ!」
「ユースタス屋………!!」
(あぁ………私の馬鹿………)