第20章 おそろい!?
『黒……黒……』
「何でも良いだろ。早くしろ。」
二人は店を何軒も覗いていた。黒い物は幾つもあったが、調度良い物が無い。服だと洗い替えで何枚も必要になるし、靴下じゃ見えなくなる。効果が無いかもしれない。眼鏡じゃ黒い部分が少な過ぎる気がするし、鞄は邪魔になる。
『うーん……何が良いんだろ……あれ?』
気が付くと、隣にいたローがいない。
(やば……時間掛かり過ぎて飽きちゃったかな。)
店から出て行ったかもしれない。早く決めなければ。カナエは焦って探し始めた。
「良いのがあったぞ。これにしろ。」
背後からローの声がして、安心して振り向くと頭に何か乗せられた。
それを手に取り見てみるとキャスケット型の黒い帽子。毛が短めのファー素材で、白い斑点の様な模様が帽子の下の方に、ぐるりと一周あしらってある。
(色違い!?ってか、この形じゃ2年後は完全にお揃いでは………!)
カナエは固まっていた。この歳でペアルックはこっ恥ずかしい。
「何だ。嫌か。」
『嫌じゃないんだけど……ローのと似てるね……』
「形が違うだろ。」
『それは今だけと言うか何と言うか………』
「何だよ……それで良いだろ。行くぞ。」
『はい。』
お揃いになってしまった。まぁ悪くないか。
『どこ行ったかと思ったら……探してくれてたんだね。………………似合うぅ~?』
照れ隠しにぶりっ子風に聞いてみた。
私、キモい。
「あァ。悪くねェ。」
『え………あ、ありがと………』
「自分で聞いといて何照れてんだよ………」
支払いを済ませて外に出ると、ローの電伝虫がプルプルと鳴り出した。相手は船員1くん。カナエは興奮していた。
(おぉ!初めて見たぁ!かわいい!)
「分かった。4時だな。今から向かえば間に合う。………………あァ、船員1、2は船に残れ。あとは会場で落ち合おう。」
『どこに行くの?』
「ヒューマンオークション会場。人身売買が行われている場所だ。ただの見学だが……あまり気分の良い所じゃねェ。行くか?」
オークション会場と言う事は………
『行く!』
「クックック………良い度胸だ。」
気の弱い乙女じゃ無いカナエの反応にローは飽きない。機嫌が良い様だ。
しかし、カナエは心ここに有らず。
麦わらの一味に会える………!!!