第19章 もう、良い。
『ここにいるなんて珍しい………』
「お前が来ると思ってな。」
待っててくれた……。
当たり前の様に言うから、何だかくすぐったい。
カナエはお茶を淹れて、ローと向かい合って座った。
「酒じゃねェのか。」
『今日はそんな気分じゃ無い………』
「そうだな。」
しばらく二人は無言のままだったが、カナエもローもそれが心地良い。
しかし、ローにはカナエにどうしても聞きたい事があった。
「ユースタス屋が言ってた………」
『え?』
「お前をラフテルに連れて行くってのは何だ」
『あぁ………あれは………ワンピースを信じてるって言ったの。そうしたら、キッドが油断するかと思って………』
「………………何でお前がワンピースを知ってる?」
しまった。またボロが出た。異世界から来た私が知ってるのはおかしいか。
『………………シャチに聞いたの。』
「そうか。」
ごめんよ。シャチ。
「あると思うか。」
『あるよ。何かは分かんないけど絶対ある。』
「そうやってユースタス屋にも言い切ったのか?」
『うん。言った。』
「それでお前に惚れたのか………」
ん?惚れた?
『違うでしょ。そんな事言う女が珍しかっただけだよ。』
「鈍いな、お前。俺より長生きしてんだろ?分かんねェのか?」
『長生きって!数年でしょうが!』
「金八かお前………」
『何故その名を………』
「あ?知らねェよ。」
ローは遠い目をしている。
「信じてるか………やっぱりお前、面白ェな」
ローは自分のグラスを持って、カナエの横に移動してきた。
飲めよ。と言うので一口貰った。おいしい。
『近いんですけど………』
「良いだろ。」
ローはカナエにピッタリくっついて座っている。
肩に手を回し、耳元で囁いた。
「誰にも渡さねェ」
すると、カナエの耳をゆっくり舐め上げた。
『ロー!?』
「あんな姿見せられて………ユースタス屋に先を越された気分だ。もう待ってられるか。」
ローの息づかいと、耳を舐めるぐちゅぐちゅと厭らしい音が体の中まで響いてくる。
『ロー……!待って……!』
手はカナエの胸の膨らみに置かれ、服の上から感触を確かめている。
「まだ気持ちが無ェって言うのか………?」
『ちっ………違う!!』