第16章 シャボンディ諸島
『じゃあ、変顔してください。』
「あァ?」
『してくれたら、私ずっと笑ってます。』
「俺がやると思うか?」
『しない人がやるから面白いかと………』
「てめェふざけてんのか」
『大真面目ですけど。』
「可愛く無ェな………」
そんな二人の様子を、船内に続く扉の隙間から覗いている船員達がいた。
「どうしよう……シャボンディ諸島が見えてきたのに……ケンカしてるのかな。」
「ベポ………あれはじゃれてるんだ。」
「船長もカナエさんも楽しそうだな………羨ましいっ!!」
シャチは目がうるうるしている。
「シャチ。諦めろよ。」
ペンギンは慰める様に肩を叩いた。
「違うんだ……よく分からないんだ………」
「何がだ。」
「船長も羨ましいが、あんな風に船長と絡めるカナエさんも羨ましいんだ………」
「そりゃぁ………複雑だな………」
「俺も二人とも大好きだぞ!」
そうだな。と船員達は笑い合った。
『わー!綺麗!!』
ハートの海賊団はシャボンディ諸島に到着した。島から発生した大きなシャボン玉がヤルキマン・マングローブと言う縞模様の木々の間を、空に向かって飛んで行く。
カナエがいた世界では見られない幻想的な風景。
(ボンチャリ乗れるかな………)
船は24番グローブの木の根元に、隠れるように錨を降ろした。
船のコーティング職人を探す為、船員3、4を船番に残し、ロー達は上陸の準備を始めた。いくら潜水艇と言っても、海底1万メートルまでは潜れないらしい。
(しっかりコーティングしないと新世界どころか、魚人島すら辿り着けないもんね………)
「カナエ、どうする?行くか?」
『ペンギンくん………私、行く気満々なんだけど………』
遊園地シャボンディパークで遊んで、ショッピングモールにも行きたい。カナエは完全に観光気分だ。
「カナエ!今、この船を着けた場所は無法地帯って言われてる場所なんだ。キャプテンは賞金首だから、狙われる可能性も高いんだよ!」
「一緒に行くのは構わねェけど、カナエさんが恐い思いするかも………」
ペンギンもベポもシャチも。
カナエが行くのは気が進まない様だ。