第16章 シャボンディ諸島
しまった。浮かれていた。
今、ハートの海賊団が上陸したと言う事は、シャボンディ諸島には懸賞金が億を超えるルーキー達が集っている。
血の気の多い海賊達が衝突するような事があれば、どんくさいカナエは巻き込まれ兼ねない。カナエは一気に青褪めた。
『ごっ……ごめん!私は船で大人しくしてます。』
「問題無ェだろ。」
『えっ………』
「でもキャプテン、カナエには危ないよ!」
「何かあっても俺がいる。離れなければ良い」
そうは言われても、カナエは行くのが怖くなってしまった。確かに見たいものは沢山あるが、命には代えられない。全力で遠慮したが、ローに腕を掴まれ、半ば強引に上陸させられてしまった。
「いいから来い。行きてェんだろ?」
『は……はい……』
カナエの腕を掴んだまま、ローは船員達を置いてスタスタと先に行ってしまった。全員慌てて追いかける。
「キャプテンてば……よっぽどカナエと一緒にいたいんだな!」
「ナーニ・カール島の時もカナエさんを連れてたけど、今まで船長が女を連れて歩くって無かったよな。」
女と言えば体の関係だけ。その女がどんな女か、どこで何をしていようが露ほどの興味も無かった。
そんなローがカナエが現れてからの変化が著しい。カナエの事を常に気にしていて、傍に置きたがる。わざわざ船員達の前で俺の女とまで言った。
ペンギンはあの時、その事に驚いていた。
「今までそんな事言わなかったもんなぁ」
「はっ!まさか船長、俺の気持ちに気付いてて、わざと!?」
「シャチはあからさまだっただろ。釘を刺しときたかったんだよ。」
「船長に俺なんて敵わねェのに………」
「そうだよな………」
むしろ、俺にか?
カナエはお兄ちゃんみたいだと、随分俺を頼ってくれてた。気も許してくれてたと思う。
船長が俺に嫉妬してた?
「可愛いトコロあるなー。船長。」
「ペっ……ペンギン!何言ってんだよ……キモい!!」
「うるせェよ」
「ペンギーン!シャチー!何してるのー!置いてかれるよー!!」
気が付けば皆、島と島をつなぐ橋の向こう側にいる。
「やべっ!!」
「急げ!!」
一行はコーティング職人の情報収集と、遊園地を見たいと言うカナエの為に32、3、4番グローブへ向かった。