第16章 シャボンディ諸島
クロウマン トーリ 9800万ベリー
『クロウって……鴉?鴉男?トーリ……鳥?何これギャグ?』
「そいつも麦わらの一味だよ!」
『え?』
知らない。麦わらの一味にこんな男はいただろうか。仮にいたとしても、カナエが忘れる筈が無い。
『………どんな人なの?』
「いつも黒いマントを身に纏っていてね、悪魔の実の能力で空を飛ぶんだ。その姿が鴉みたいだから、クロウマン!」
やっぱり知らない。新聞が少し前のものだから、もうブルックが仲間に入っていたとしても、空は飛ばない。
「ただ飛ぶだけじゃ無くて、スピードも早くて戦闘能力も高いから、海賊狩りと黒足で船長に続く3強って言われてるんだ。」
(一体どういう事だろ……こっちに来てから新キャラは出て来たけど、話の流れには影響の無い人ばかりだったし………)
「黒足は懸賞金が掛かるのは初めてかな?記事にはなってたけど………鴉男は海賊狩りと一緒に手配書が出回ったから、かなり強いんじゃないかな?」
『写真も誰だか分からない位だね………』
手配書の写真は青空の中、その名の通り鴉が一羽飛んでいる様な姿で、もちろん顔なんて見えない。
(誰なの………)
カナエは何故か、その写真に写る得体の知れない男に恐怖を感じた。
「カナエ!見て見て!!キャプテンの手配書!カッコいいでしょ~!」
(うっわ………)
カナエの不安を余所に、ベポが自慢気に見せてきた。カナエはローの2億の手配書は見た事が無い。いつものニヤリとした笑み。海賊だから当たり前なのかもしれないが、極悪人以外の何者でも無い。
『船長さん………この写真、悪そう………』
「あァ?悪ィか。善人面して海賊なんか出来るかよ」
『確かに………』
「船長ー!見えましたよ!!ついに到着しました!」
ペンギンが珍しく興奮した様子で駆け寄ってきた。
「やっと此処まで来たな………」
ローも気分が高揚している様だ。口角を吊り上げ、野心に満ち溢れた目をそれに向けている。
『す………凄い……ベポ、これって………!』
目前に迫り来る赤い岩壁。天を貫く程の高さ。この先に待つ、新しい世界。
「レッドラインだよ!!!」