第16章 シャボンディ諸島
翌日。
シュルティは、朝日が昇る前には船を出していた様で、カナエが目を覚ました頃はもういなかった。
同じ航路を辿っているなら、また会う事があるのだろうか。そんな事を考えながら、甲板で日課の洗濯物を干していた。
「カナエー。おはよー。これ見る?」
『おはよー。ベポ………何、その大量の新聞……』
ベポが両手いっぱいに新聞を抱えて持ってきた。潜水している間はニュース・クーから新聞を受け取れない為、浮上した時にまとめて買っているのだと言う。
『でもさ、この船って浮上率高くない?』
「良いんだ!そうじゃないと、イベントが考えられないんだよ!」
『何を言ってるの………』
ベポが遠い目をしている。
「届いたか。」
「あ!キャプテン!今日は早いね!さっき届いたんだ。また値上げしてたよ!」
「まぁ、仕方ないだろ。」
『………』
カナエは昨日の今日で、恥ずかし過ぎてローの顔が見えない。ろくに挨拶もせず、熱くなった顔を見られない様に洗濯物を干していた。
(乙女か私は………)
カナエは半ば自分に呆れていると、ローがいつの間にか背後に立っていた。
耳元で、何を照れているんだ。と囁き優しく息を吹き掛けてくる。
『!!!』
「クックックックッ」
ローは随分楽しそうだ。ベポが見ているというのに。
ローとしてはもう船員達の前で、俺の女と宣言したので誰がいても構わないらしい。
(この公然セクハラはどんどんエスカレートしていきそう………)
「あ!イチャイチャしてないでキャプテンもカナエも見て!」
ベポは新聞に挟まれた手配書を床に広げた。
「麦わらの一味だよ!また懸賞金が上がってる!!」
「………………………」
ローは興味があるのか無いのか。無言で手配書を見つめている。
カナエはと言うと………………
(うおおぉぉおおおぉぉおお!!!
ヤッバーーーーーーーーい!!!!!!)
彼女はトサカ頭の船長に着いて行った方が良い。