第3章 何かのイベントですか…?
カナエは横になったまま、見覚えの無い天井を眺めていた。
(やっぱり知らない場所…)
腕に違和感を感じて見てみると、点滴が繋がっていた。
(これのおかげかな…さっきより体が楽になった…病院なのかな…?)
薬品の独特の匂い。
医療器具の様な物もいくつか置いてある。
(でも、確かに家にいた筈なのに…)
記憶が繋がらない。
一体どうして此処にいるのか検討もつかない。
「気が付いたようだな。」
「良かったね―!水でも飲む?」
(あ、さっきのコスプレの人。ベポの人も…)
夢にしてはリアルすぎる。
ベポの声もちゃんと口の中から聞こえてくるし、瞬きもしている。
「あの~…」
全身の毛も、まるで本物の様な触り心地。
肉球までちゃんとある。
(ちょっと固いけど気持ちいい…)
「キャプテンどうしよ~」
「女…その辺にしておけ…」
『え?』
カナエは無意識にベポの肉球をぷにぷにしていた。
『あァ!ごめんなさい!つい……って……
ぎゃあ!!』
ローの刀が首筋に触れている。驚いて動いた弾みで少し切れてしまった。血が一筋流れ落ちる。
(ほっ…本物!?動いたら殺される!!!
肉球触って死ぬのか私は!!!)
『わっ……悪気は無いんです!!』
「キャプテン!俺大丈夫だよ!!」
そこまでしなくても…と、ベポが焦って止めに入る。
「ふん…命拾いしたな」
ローは刀を鞘に納めた。
しかし、目は射抜く様にカナエを睨んだままだ。
(ひぃぃ~恐い~……)
しかし、カナエにはどうしても聞かなければならない事があった。
答えによっては今後の身の振り方を考えなければ行けない。
カナエは勇気を振り絞って聞いた。
『これ……何かのイベントですか?』
「「………はァ?」」