第13章 航海の日常
航海3日目。
カナエは自室の姿見の前で、下着姿で悩んでいた。
(う~ん……私の体って……ショボ~ンって感じ。可哀想……)
明らかに運動不足な体つき。筋肉も全然無い。
海賊船に乗っているのに、これではいけないと思いカナエは少しでも鍛える事に決めた。いざという時、自分を守れるくらいの術は身に付けなくては。
(と、言っても一人じゃ無理…………)
誰かに教えて貰わないと。
もちろん一番強いのはローだが、レベルが違い過ぎる。
(鍛えられる前に襲われそうだな……ハハ……)
いきなりベポの様な肉弾戦も難しいし、ペンギンやシャチも、たしかシャボンディ諸島で、レイリーの覇気に耐えていた。強さは並以上だろう。こちらもレベルが高そうだ。
(その他大勢達くんにお願いしてみよう。)
カナエはつなぎに着替えて、部屋を出た。
「えっ!戦うんスか!?姐さん!!」
『誰が姐さんだ。』
休憩中の彼等に相手を頼んだら、そんな答えが返ってきた。俺達が守りますから!とか、無理しないで下さい!と、あたふたしている。可愛い奴らめ。
『でも、いつ何があるか分からないし、皆の重荷にはなりたくないし……お願い!暇な時で良いから!』
「しょうがねェな~姐さんに頼まれたら断れないッス!」
カナエは基本的な護身術から教わる事になった。
30分後
『ごめっ……!もう……無理……!』
カナエは既に息を切らして、床に仰向けに倒れていた。
運動と無縁だったカナエには、その他大勢の船員達の足元にも及ばなかった。
「姐さん、まずは基礎体力ッス!」
「明日からは、走り込みと筋トレッス!」
『うん……そうする……』
次の日から、船内を全速力で走り回るカナエと、それを不思議そうな顔で見守るローの姿があった。
「何やってんだ……あいつ……」