第13章 航海の日常
(……あ~眠ぃ……)
朝、ローはベッドの上で天井を眺めていた。
昨夜も本を読むのに夢中になり、夜更かしをしてしまった。
ほぼ毎日、この調子だ。今は航海も順調な様なので、ローはもう一度眠る事にした。
『船長さーん!朝食お持ちしましたー!』
ん?あいつの声……
放っといてみるか。部屋に入って来い。
ローは狸寝入りを決めた。
『お邪魔しまーす………』
入ってきたな。
少し目を開けてみると、カナエは目を輝かせて本を眺めていた。
好きなんだな。こいつ。
そう思っていると、ローの顔をまじまじと見始めた。
何をそんなに見てる。見惚れてんのか?
だったらキスぐらいしてこい。
『………………』
なんで何にもしてこねェ。あの男とは会ってその日にしてたのに。お前の唇の一番新しい記憶が俺以外なんて、気に入らねェ。
「何だ。抱かれる気になったか。」
痺れを切らしたローは、カナエをベッドに引きずり込んだ。
カナエに覆い被さると、相変わらずの小ささに愛しさを感じ、思わず額に唇を落とした。このまま抱けたら………
しかし、カナエはまだそんな気にはなれないと言う。強引に犯しても良いが、ローにそんな趣味は無い。
だったら、キスで我慢してやる。あの男と出来たんだったら俺とも………
『してませんよ……危なかったですけど……』
………嘘だろ?俺はてっきり……
『もしかして……それで……』
あぁ、そうだ。
キスをしているのを見た時、気付いたらあの男をぶっ飛ばしてた。よく生きてたな、あいつ。
あの男に怒りを覚えるのと同時に、それを許したこの女にも腹が立った。
俺の事は思いっきり突き飛ばしただろ。
ただの嫉妬だ。