第13章 航海の日常
航海2日目。
カナエは、着てみると少し大きかったつなぎの袖を上げ、キッチンに立っていた。今日から調理補助をする事になったのだ。
『シャチ、このぐらいの大きさで良い?』
シャチは料理が意外と得意で、料理番が回って来る事が多いらしい。カナエはシャチを手伝って朝食のおにぎりを作っていた。
「オッケー!じゃあ、3つ作ったら船長に持って行って!」
ローは朝が弱い為、朝食には顔を出さない。いつも誰かが船長室まで運んでいる。
中身は、ツナマヨとおかかと鮭。定番の梅干しを入れるとキレるらしい。
(何かそんな話あったな……俺はパンは嫌いだ!とか叫んでた気がする……ぷぷ)
「こうやって一緒にキッチンに立ってると新婚みたいだな~。な!カナエさん!」
シャチは鼻の下を伸ばし始めた。
『うっさい。シャチ。じゃあ行ってくるね。』
「…………行ってらっしゃい。」
シャチは静かに涙を流した。
『船長さーん!朝食お持ちしましたー!』
カナエは船長室の前にいた。何回か声をかけているが返事が無い。
返事が無ければ入って良いと、シャチが言っていた。
『お邪魔しまーす………』
静かに扉を開けると、ベッドでローが寝息を立てていた。
(起こさないようにしないと………おにぎりは机の上に置いておこう。)
奥の方にある机の横には、大きな本棚があった。大小様々な本が溢れるほど並んでいる。
(うわ~医学書みたいなのばっかり………あの日は気付かなかったけど………こうやって本が並んでる感じ、良いな。)
漫画だけで無く、本好きのカナエには堪らない光景だ。
(あ……下の方は違う本……伝記とか図鑑も読むんだ……面白そう……ん?)
【ワノ国の忍者伝説】
(何だこれは。意外過ぎる……)