第13章 航海の日常
ハートの海賊団は、ナーニ・カール島に2日間滞在した。
カルロを見かける事があったが、カナエを見た途端に顔を真っ青にして逃げ出して行った。
余程、ローの凄みが効いたのだろう。
無事にログが溜まり出港した後、船員達がカナエにプレゼントだと言って大きな紙袋を持ってきた。
『え……?誕生日でも何でも無いけど……』
「カナエさん、これは俺の愛の気持ち!!!……いでっ!」
シャチは、天に向かって手を広げながら叫んでいたが、ペンギンに殴られた。
「何言ってんだ、シャチ。そうじゃねェだろ。カナエ、とにかく開けてみろよ」
『うん………………あっ!』
袋に入っていたのは船に来た時に渡された、皆とお揃いのつなぎ。大き過ぎて、服を買ってからは着ていなかった。
カナエはつなぎを広げると、小さくなっている事に気が付いた。ちょうど、カナエのサイズだ。
『これ…………』
「ナーニ・カール島に服の仕立屋があったから、出港までに間に合うように直して貰ったんだ。」
『いつの間に……全然知らなかった……』
「お前、同じ船員になったのに何か一歩引いてただろ。まァ、いきなり海賊船に来たんだもんな。イマイチ馴染めねェのかと思って。歓迎の証。」
『ペンギンくん……』
「遠慮する事ないぞ!カナエはもう仲間だからな!」
『ベポ…………ありがとう。何か、凄く嬉しい……』
ヤバい。感動。泣きそう。
『サイズ合うかな!早速着替えて来るね!』
カナエは涙を見られない様にその場を走り去った。
「カナエ……泣いてたね」
「泣くほど喜んでくれるなんて……可愛すぎる……今すぐ抱き締めに行きたい……」
「その辺にしとけ、シャチ。」
シャチはまたペンギンに殴られた。