第2章 現実逃避しよ。
『ただいまー』
近くの本屋で新刊を購入したカナエは
誰も待っていない自宅アパートへ帰る。
(とりあえずお風呂入ろう…)
シャワーを浴び、部屋着に着替え、早速ワンピースの1巻を手に取った。
『懐かしいなぁ………』
『駄目だ…!もう眠い…!』
睡魔に襲われたカナエは食事も取らずに、そのまま深い深い眠りについた。
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透き通る様な、アクアブルーの海の中。
黄色い潜水艇が目的地に向かって進んでいた。
船に乗るのはハートの海賊団。
船長は死の外科医の異名を持つ、
トラファルガー・ロー。
ローは、いつもの様に船長室に籠り、医学書を読んでいた。
「キャプテーン!キャプテーン!」
慌ただしく部屋に駆け込んで来たのは船員である、オレンジ色のつなぎを着た、シロクマのベポ。
「何だ…。ノックぐらいしろ。」
「あァ!また忘れてた!すいません……」
ベポは落ち込んでしまった。非常に打たれ弱いクマである。
「何かあったのか?」
「そうだよキャプテン!さっき久しぶりに倉庫の掃除をしようと思ったら、中に女の子が寝てたんだ!」
「あァ?」
理由分かんねェ事言うな。とローは元々悪い目つきを更に悪くして睨んでいる。
「でもホントに居たの!見に来て!」
嘘をついている様には見えない。
「しょうがねェな…」
ローは重い腰を上げ、普段使わない物が置いてある倉庫に向かった。
「ね!キャプテン!居るでしょ!」
「あァ…居たな…」
ローは正直驚いていた。
つい先程まで、船の中に船員以外の気配は全く無かった。
あれば必ず気付くはず。
気配を消して船に乗り込み、今まで誰にも見つからない様な奴なら、ここで眠り込んでしまうヘマはしないだろう。
第一、こんなパジャマを着た女が、何処かの密偵とも思えない。
「あっ!ちょっと目開けてるよ!起きたのかな?」
女は朦朧としているようだ。
そして何か呟いた。
『クオリティ高い…』
「……???あ…また寝ちゃった…」
「…まァ、害は無ェだろう。それよりこの女、だいぶ衰弱している様だな。医療室へ連れて行け。」
「アイアイ!キャプテン!」