第11章 違う。
カナエとカルロは歳が同じで、お互いに酒好きという事もあって、すぐに打ち解け盛り上がっていた。
2人共、かなり酔いが回っている。
「カナエは今まで彼氏はいたの?」
『それなりにね。でも、みーんな自然消滅!深くは付き合って無かったって事だよ』
「ふーん。でも、セックスはした?」
はっきりと聞くカルロにカナエは驚いた。
『い…言わなくちゃいけないの?』
「いーじゃん。酒の席なんだし。いい大人なんだし。それともした事無いの?」
『あるよ!!付き合ってたんだから!こんな貧弱な体でも皆愛してくれたんだからぁぁぁ~』
カナエは泣き出してしまった。完全な酔っぱらいである。騒ぐ女にマスターは本気で怒っている。
「お客さん、飲み過ぎですよ。」
『スイマセン……取り乱しました。』
横でカルロは楽しそうに笑っていた。
『ごめんね、大きい声出して。』
「いや、楽しいよ」
『もう遅い時間だけど、カルロは帰らなくていいの?めんどくさい女の相手はもう良いからさ……私はこのクマが起きるまでは、ここに居なきゃいけないし。』
「カナエは可愛いよ」
カルロはニコニコしながら言っている。
カナエは目を見開いて驚いた。これだけ酒を飲んで醜態をさらけ出している女を可愛いとは……
『お世辞は嬉しいんだけど……「カナエ」
『?』
カルロはカナエの耳元で囁いた。
「一緒に奥の部屋に行かない?」
『奥の部屋って……えぇ!?』
そーゆーコトか!!とカナエは慌てて、誰かに言った事のある言い訳をし始めた。
『私なんか相手にしても途中で萎えちゃうからっ!貧弱だからっ!』
カルロは肩を組んできた。
『何っ………』
「そんな子に限って、超エロかったりするんだよね……だから今までの彼氏も愛してくれたんじゃないの……?」
(耳元で言うなー!!こっちの世界は変態ばっかりか!!)
「ねぇ……行こうよ」
カルロは諦めない。
(これってナンパなの!?初めてなんですけど!どーしよー!!)