第11章 違う。
『ベポ、私はカウンターで飲んでるね。』
このままこの席にいても邪魔だと思い、カナエは一人で飲む事にした。
「俺も行くよ!カナエ一人には出来ないしなっ!」
そう言いながらベポが来てくれた。
可愛いクマめ。
『メスクマちゃん居ないしね~』
「ぎくっ!そうじゃない!俺はカナエと飲みたいんだ!」
『冗談だよ。ありがと!』
カウンターに行くと1人先客がいたが、端の席が空いていた。
壁際からベポ、カナエが座る。
「いらっしゃいませ。」
『こんばんは。マスター、日本酒ってありますか?』
「ニホンシュ?」
『あ~…お米から出来てるお酒です。』
「それならありますよ。お客さん、強いんですね。」
『まぁね~』
カナエはベポやマスターと会話が弾み、いつもより飲み過ぎてしまった。気がつけばだいぶ夜も更けて、いつのまにか横でベポが寝息をたてている。
(そういえば、皆はまだ飲んでるのかな?)
振り向くと、シャチが先程の女性と腕を組んで店の奥へ消えて行った。いつのまにか、ローもペンギンもいない。もしや……
『…………マスター、店の奥って、何。』
「お客さんが休憩できる個室がいくつもあります。」
『あぁ……なるほど……』
(ワンピースの闇を見ちまったぜ……ゼハハハ)
カナエはだいぶ酔っていた。
(ローも奥の部屋に行ったのかな……何か…嫌な感じ。)
カナエは胸がざわざわする。この感覚は何なのか。
(話相手がいない。つまんないなぁ。ベポは寝ちゃったし……)
するとマスターがそんなカナエを見兼ねてか、常連客だと言う男を一人連れてた。
「この人、いつも一人なんですよ。相手してやってください」
「カルロです。楽しく飲みましょうか。」
『お互い一人って事で。』
(知らない人との会話……カウンターはこんな事があるから面白い。)
カナエは気を紛らわせる為、マスターの厚意を受け取る事にした。