第10章 ナーニ・カール島
「お嬢さんの血は、人の力を支配できるようじゃ」
『しっ…支配??』
「お嬢さんが強く念じれば、相手の力を上げるのも、奪うのも自由自在。」
「悪魔の実の能力もか。」
「おそらくな。覇気使い相手には難しいかもしれんがの。しかし、血を直接飲めば効果絶大じゃ」
カナエの中ではイマイチ現実味が湧かなかった。体に何も変化は感じない。感じたのは、老人がこちらの世界の人間では無いと言う事だけ。
(強く念じるって…いったい何なの)
「厄介ってのは何故だ?」
「お嬢さんの様な人を支配できる力は、政府が欲しがっとる。力を知られて海軍に追いかけ回されん様に気を付けるんじゃな。」
『捕まったらどうなるんですか…?』
カナエは恐る恐る聞いた。
「そうじゃな…死なない程度に血液を抜かれて、利用されまくりじゃ!」
『せっ…船長さん!私嫌なんですけど!!』
カナエはパニックに陥った。大好きなワンピースの世界に来て、浮かれていた自分を後悔した。
「落ち着け!バレなきゃ良い話だろ。だいたいお前、力の使い方分かるのか?使わなきゃ誰にも分かんねぇ」
「まぁそうじゃな。じゃがお嬢さん。わしを見た時、何か感じたじゃろう。」
『……はい。おじいさんが何者なのか分かりました。』
「わしらは互いに血の力を感じるんじゃ。海軍の中にもあちら側の人間がおるぞ。出会ってしまったら、何の力か調べる為に狙われるかもしれんの。」
『どうしよう……』
カナエは真っ青だ。
「じいさん、力はどうやって使う。」
「それは力による。お嬢さんは来たばかりじゃろう?力はまだ使えん。こちらに来てからの血が体を巡って、時が来れば力に 目覚め、自然と使い方も分かる。……ワシが教えられるのはこれだけじゃから……貴様らさっさと帰れ!!」
「『!!??』」
老人はいきなり叫んだ。
「夢主様が望んでおられるのは、こんなじじいのシビアな話では無い!貴様との絡みじゃ海賊め!!帰るんじゃ!!」
老人はどこかで見たことのある遠い目をしていた。
「よく分かんねェが…じいさん、参考になった。」
『ありがとうございました!』
「うむ。達者でな。」
二人は店を後にした。