第10章 ナーニ・カール島
老人は何も言わず、じっとカナエを見つめて佇んでいる。
カナエは老人を見て、何か違和感を感じた。
『…………?』
「何だ?知り合いか。」
『……いえ。……でもあの人……もしかして…』
カナエは老人に駆け寄った。
『……おじいさん……あの……』
「お嬢さん、生まれはどこだい?」
『えっ?……えっと……』
急な質問に戸惑う。しかし、先程感じた違和感が確かなら……
「わしの生まれは岐阜じゃよ。」
『!……じゃあやっぱり……。』
「お嬢さんと一緒だねぇ」
「おい。誰なんだ。」
『船長さん!このおじいさん、私と同じ世界から来てます。』
「……!話を聞かせろ。」
「わしは腹が減った。」
『……あ……もうお昼……』
「チッ……現金なじいさんだな」
3人は食堂を訪れた。
「じいさん、あんたの血の力は何だ。」
ローは早く話を聞きたかったが、老人はメニューを眺めている。
「まぁそう急くな。わしは刺身定食がいいの。」
『私、唐揚げ定食!』
「お前ら…………」
『船長さんも早く決めてください。』
「……焼き魚定食」
『すいませーん!お願いしまーす!』
老人は何も話さないまま、3人は食事を終えてしまった。
『……あの、おじいさん……』
老人はお茶を啜りながら、カナエをジロジロ見ていた。
ローはそれを睨み付けている。
「おい。さっさと話さねぇとー「わしの力はの」
ローの言葉を遮って話を始めた。
「悪魔の実の能力や、血の力を見る事ができるのじゃ」
『おぉ…なんて都合の良い展開…』
「何言ってやがる。じゃあ、この女の力も分かるのか?」
「今見ているトコロじゃ」
それでさっきから、見てるのか。
しかし、上から下まで舐め回す様に見て来るので、正直カナエは気分が悪かった。
ローも気に入らないのか、さらに睨みを効かせる。
「兄ちゃん、年寄りをそんな目で見るな。殺されそうじゃわい。……力は分かったぞ。」
「さっさと話せ」
「お嬢さん……ちと、厄介じゃの。苦労するぞ。」
『……え?』
「……?」