第10章 ナーニ・カール島
海賊船が堂々と港に停泊する訳にはいかない。ハートの海賊団は、港から少し離れた岩場に船を着けた。
ローは船員達に指示を出していた。
「ベポとペンギン、船員1は食料調達、シャチと船員2、3は、その他船の備品の買い出し、船員4、5は船番だ。夕刻までには戻れ。」
「アイアイ!キャプテン!」
「あの~船長~……今日の夜は……」
「良い店探してこい。」
「任せてくださ~い!!」
それぞれの役割が決まった様だ。
(……さて、私はどうしよう。誰かについて行っても良いのかな。ペンギンくんに聞いてみよう。)
少しでも皆を手伝いたい。
「おい。ちび女。」
『はい!』
「お前は俺と一緒に来い。」
『え?……あ、何かお手伝いする事ありましたか?』
「お前の足りねェ物の買い出しだろ。金は俺が持ってんだ。探してェ本もあるしな。付き合ってやる。」
『!!やったー!ありがとうございます!』
二人で町に向かう事になった。
何だかんだ言って、やっぱり優しいとこあるじゃん!と、思いながら異世界での初めて買い物にカナエは浮き足立っている。
『スイマセン……何かいっぱい買っちゃって……』
カナエは両手いっぱいに紙袋を持っている。
店の数は多く無いが、質の良い物が置いてある店ばかりで、航海をする者の為に水着からコートまで取り扱われていた。
気候のデタラメなグランドライン。
どんな天候でも対応できる様に、服は全て揃えておけとローにいわれ、必要最低限だけ買ったつもりだったが、すごい量になってしまった。
「金はあると言っただろう」
『……助かります。』
「貸せ。俺が持つ。」
『えっ……あっ!』
荷物が多過ぎてフラフラ歩いているカナエを見兼ねてか、ローは強引に荷物を奪い取った。
(意外と紳士……軽々持ってるし。)
『ありがとうございます』
「気にするな」
一度荷物を船に置いて、本屋を探しにローとカナエは町に戻った。
(私もまだ要る物がある……女ってめんどくさい。)
しばらく歩いていると、ローが突然立ち止まった。
「つけられているな。」
『え?』
後ろを振り向くと、一人の老人の姿があった。