第41章 ある日、森の中。
「カナエさぁぁぁぁぁぁん!!!!どこだぁぁぁぁぁぁ!!!」
「シャチだ。」
『シャチだね。』
ペンギンのカナエを探す声も一緒に聞こえる。
そういえば、休憩すると言ったきり長く戻っていない。
「シャチってば、凄い声だね。」
『死んだとでも思われてんのかな……。』
「行こっか。」
『うん。シャチの喉が破壊される前に。』
二人は、急いでシャチとペンギンの元へ走った。
しばらく走った所で彼等の姿が見えてきた。
ジャンバールも一緒にいる。
ベポとカナエに気付いた三人は、安堵の表情を浮かべて駆け寄って来た。
「うおぉぉーん!良かったー!生きてたー!」
シャチが号泣している。これは間違いない。
『やっぱり死んだと思われてた……。』
「てか、何でベポもいるんだよ!」
「おれも散歩してただけだよ。たまたま会ったの。ね。」
『ねー。花咲く森の道、くまさんに出会ったの。』
「何だソレ……。花?咲いてたのか?」
ベポは詳しい事は言わないつもりらしい。
知られたくない、とは違う。
家族に余計な心配をかけたくない、と言う気持ちだ。
「心配したんだぞ、直ぐに帰って来ると思ってたのに何処にもいねェから。」
『ごめんね、ペンギンくん。ジャンバールも一緒に探してくれたんだね。ありがとう。』
「無事であれば問題ない。」
「ぐすっ……。俺に労いの言葉は?」
『鼻水拭いて。』
ハンカチをジャンバールから受け取ると、チーン!と大きな音を立てて鼻をかんだ。
そのハンカチを返そうとしたシャチは、捨てろ、と嫌な顔をされていた。
早く戻ろう、と皆は足を進める。
居住区までは距離があるようだ。
戻るまでの間、くだらない話が始まった。
「俺って料理とかできるし、しっかり者の長男って感じ?」
『それはペンギンくんでしょ。』
「うまいもの作るって事だけ言えば母親じゃねェか?」
「口うるさい母ちゃんだね!」
「そんな事言うんじゃありません!」
ハートの海賊は家族。
それならば誰が何の役割か、そんな話だ。
『親戚のおばさんもアリじゃない?世話好きなお喋りおばさん。』
「どっちにしろ騒がしそうな俺……。」