第9章 他をあたってください!!
(ダメだ……イキそう……!でもこんなの…!)
ただの都合の良い女だ。
いきなり現れた不審な女を、受け入れてくれた船員達。ローと、セフレの様な関係になってしまったら気まずくなってしまう。
気の良い船員達と、信頼し合える仲になりたい。
何よりも、優しくて仲間思いのローに、性欲の捌け口の様な目で見られたくない。
「声、出せよ」
『……や……だ!……んんっ……!』
カナエの想いとは裏腹に身体は感じてしまう。
その時ローは指を抜いた。
「もういいか……」
『………?』
ローはカナエの手を離し、自身のジーンズのボタンを外すと、下半身が露になった。
『えっ…………大っき……!』
それを聞いて、ローはニヤリと笑みを浮かべる。
「今までの男がどうだったかは知らねェが……泣くなよ」
その笑みがなんとも色っぽく、カナエはローを受け入れそうになったが……
自分の手が自由な事に気が付いた。
(ここで流されては女が廃る……!!)
カナエは渾身の力を込めてローを突き飛ばした。
『やーーー!!!!』
「っっっ!!」
油断していたローはバランスを崩す。
「てめェ……」
『ごっ……ごめんなさい!!』
ローは思いっきりカナエを睨み付けている。
(ひぃぃー!怖すぎるー!)
しかしここで負けられない。
「何だ?ここまで来て怖じ気づいたのか?
処女みてェな反応してんじゃ無ェよ」
『だから処女じゃない!』
「だったら怖がらなくてもいいだろうが…!」
ローは拒否された事に怒りをあらわにしている。
カナエは必死に言い訳を考えた。
『とにかく!私みたいなの相手にしても途中で萎えちゃいますから!!』
「あァ!?」
『欲求不満でしたら次の島で他の女性あたってください!!私なんかより若くてセクシーな人がいっぱいいますから!!それじゃ!!!!』
カナエは早馬の如く部屋を走り去って行った。
「…………」
一人、部屋に残されたロー。
「別に欲求不満じゃ無ェんだが……」
ローは自分の心のざわつきが理解出来なかった。