第40章 宴だ!
『ローは不自由しなかったでしょ。モテモテだもんね……』
「…………さあな。」
サニー号でこんな会話をした。
あの時は、離れていた2年間の現地妻の存在を心配したが、色んな島に妻がいたのでは無かった。
『はああぁぁぁああぁぁ……。』
勘が当たってしまった。
酒を片手に盛大な溜め息をつく。
きっと誰も聞いていないから大丈夫だ。
宴会が盛り上がっているし、皆、シャチが作ったラザニアに夢中だから。
イッカクは開戦を宣言した後、カナエにガンを飛ばしてその場を去り、何事も無かったかの様に宴の席に戻った。
今も彼女は、ウニ、クリオネと言う名の船員と楽しそうに飲んでいる。
カナエはと言うと、シャチの最後の大作、ラザニアを運んだ後は、イッカクから隠れるように彼女の視界に入らないように、ジャンバールの後ろで小さくなっていた。
大きな紳士は理由も聞かず、黙って背中を向けたまま動かないでいてくれる。
迫力に負けて、何も言い返せなかった。
そもそも言い返せる事など何も無いのかもしれない。
イッカクは自分がいない2年の間、ずっとローの傍にいたのだ。
同じ船に乗っているのだから、毎日、24時間、ずっとだ。
それに比べたら、自分がローと過ごした時間はなんて短いのだろう。
『一緒にいた時間ってのは強いんだよなぁ……。敵わないよなぁ……。』
共有してきた時間や様々な出来事。
そういったものは、二人の思い出になって、二人の絆を深める。
異世界の珍しい女。
なんて、ひょろっひょろの武器では敵わない。
『あーあー。なんだかなぁ……。』
こちらの世界に戻って来て、サニー号で抱いてくれた。
ドレスローザで別れた時は、自分の事を大切に思ってくれている様に感じた。
待ってろとは言われたけれど、今となっては全てが霞む。
『はぁ、こりゃヤケ酒かな……。』
「ドォシタンダァイ?ゥオ姉チャァン!溜ァメ息ナンカツゥイテェ!!」
『げぇ、何でここに居るんですか……。』
プロレスラーのコントが始まったかと思い、声のした方を見てみると、酔っ払いトミダが小躍りをしながら近づいて来た。
彼はイヌアラシ公爵のいる右腹の砦にいる筈だったが、何故ここに。
『はぁ……。ウザい……。』
「まあまあ。飲むぞー、スズキ!」