第40章 宴だ!
「くじらの森」
"侠客団(ガーディアンズ)"居住区。
中心部クラウ都を囲む森の中に、幹がクジラの様な、何とも不思議な形をした巨大な木が佇んでいる。
その麓には、侠客団と呼ばれるネコマムシの旦那を筆頭とした、クジラの森を守る者達の居住区があった。
そこにはハートの海賊達の姿が。
あれから数日経ち、彼等は旦那の預りとして、この居住区で戦いの傷を癒していた。
海賊である彼等はこの森から出られない。
しかし、ここでの生活はとても快適だ。
ミンク族達は皆、歓迎ムード。
木の上の家を2棟も与えて貰ったし、共同の調理場や浴場等も、何でも好きに使って良いと言われた。
「カナエさーん!これ持ってって。」
「はいよー。」
この日の調理場は、いつにも増して賑やかだ。
カナエとシャチを含めハートの海賊団数名と、女のミンク族達が忙しなく動き回っている。
肉や魚、野菜や木の実。
様々な食材を使った料理が、次から次へと出来上がっていた。
この国は象の上にあるとは思えないくらい食材が豊富だ。
一日に二度ある象の水浴びによって、海から沢山の恵みを得ているからである。
その食材達を手際よく調理しているのは、サンジでもミンク族でも無く、ハートの海賊団のシャチだった。
元々料理が好きだと言っていたシャチ。
カナエが居なかった2年の間に、船員が増えた事もあってメキメキと腕を上げたらしい。
シャチが作った料理は、食欲をそそる匂いを漂わせて調理場の外へと運ばれて行く。
「カナエさん、運ぶの早ェな。プロのウェイトレスみてェ。」
『みたいじゃなくて、プロですから。』
「それにしても、旦那は元気だなー!」
『ホントだね、私なら寝てたい。』
襲撃から間もなく、片腕を無くしたネコマムシの旦那は目を覚ました。
旦那は開口一番、懸命に戦ったハートの海賊団や侠客団を労う為、宴を開くと言い出した。
最初はチョッパーに安静にしろと怒られた。だが旦那は聞く耳を持たない。
旦那を説得する為、チョッパーは皆に助けを求めたが、その時彼の味方はどこにも居なかった。
侠客団も、もちろんハートの海賊達も旦那の意見に大賛成。
チョッパーの空いた口が塞がらない内に、酒と食材が集められ、宴の準備が始まったのだった。