第39章 大丈夫。
『ベポ!』
「えェ!?カナエ!?」
ああ、久しぶりの 、
『ベポベッドーーー!!』
「ギャー!!俺、怪我にーん!!」
先程のシャチの勢いの如く。
カナエは仰向けになっていたベポの腹部へ飛び込んだ。
久々に感じる、この包まれる様な柔らかさ。
家のベッドとは比べ物にならない程気持ちが良い。
『ベポ、元気だった?幸せ……。』
「俺は死にそうだよ!!」
「カナエさん!どいてやってくれ……!」
ベポも大怪我を負っている。
その体へダイブするのは酷な話だ。
シャチはカナエを引き剥がそうとするが中々離れない。
「カナエ、そんな事してないで早く手伝いなさい!」
ベポの手当てをしていたのはナミだったようで、遊んでる場合じゃない、と頭を引っぱたかれてしまった。
大人しくベッドから降りる事にしたカナエは、何故か恍惚の表情を浮かべている。
「酷いよカナエ……久々なのに、いきなりそれは無いよ……。」
『嬉しくて、つい……。』
「俺も嬉しい!」
ぎゅうっ、とカワイイ白クマに抱き締められた。
優しくて、あったかい。
その他大勢の船員達もやってきて、彼らは、姐さん姐さん、と涙を流している。
自分の事でこんなにも喜んでくれている。
鼻の奥がツンと痛んだ。
『あれ、でも……。』
一人足りない。
頭をポンポンしてくれそうな、年下のお兄ちゃんが。
「あっ!!俺、ペンギンを探してたんだった!ベポ、知ってるか?」
「旦那の側で戦ってるのは見たんだ。けど後は分かんなくなっちゃって……。俺も探しに行くよ!」
ベポは急いで体を起こした。
だが、傷口が思った以上に痛かったらしく、痛い!と絶叫しながら再び仰向けに。
「大人しくしてろって!俺がちゃんと見つけて来るから。それに、焦らなくてもペンギンは強いから大丈夫だ!」
「うゥ、ごめんね……。」
『シャチ、私も行くよ。ペンギンくんの顔、早く見たいしね。』
「オッケー!……はっ、もしかして俺と二人っきりになりた、」
『しつこいわ!ボケ!』
「くそっ!残念!」
まずはネコマムシの旦那を見つけよう。
彼の側に居たのなら、目立つ旦那を先に探した方が手っ取り早い。
しっかり者のペンギンくん。
彼も、戻って来た事を喜んでくれるだろうか。