第39章 大丈夫。
「スズキ、行けよ。心配なんだろ?」
『…………はい。』
ジャック率いる百獣海賊団の襲撃から5日間、昼夜途切れる事なく続いた戦い。
その戦いには、先にゾウに上陸していたハートの海賊団も参加していた。
この国はベポの故郷。
海賊になってもそれは変わらないと、ミンク族と共に戦った彼らが気掛かりだ。
『サンジ!私も連れて行って!!』
「……ああ!もちろんだ。」
きっと今頃、皆は傷だらけになって何処かで苦しんでいる。
それとも、戦い5日目に使われた毒ガス兵器の餌食になって、死の淵を彷徨っているのだろうか。
助かると分かっていても気が気じゃない。
自分に何が出来るか分からないが、少しでも早く彼らを見つけて、少しでも早くチョッパーの手当てを受けさせてあげたい。
カナエは駆け足でサンジに近寄る。
『ごめんね、サンジ。足手まといだと思うけど……。』
「そんな事無いさ。仲間に会いたいだけだろう?」
『うん。……早く、早く会いたい。』
「じゃあ、急ごう!」
一行は門をくぐり、森の中を進んで行く。
地面は象の皮膚でできている。ぶにぶにとした感触で、歩くのにはとても困難だ。
目にするのは、なぎ倒された多くの木々。
百獣海賊団の破壊の威力を物語る。
「カナエ、歩きづらくないか?」
森を半分程進んだ所で、チョッパーが乗るか?と言いながら獣型になってくれた。そう言う彼も歩きづらそうだ。
少し強がっている、そんな姿がカワイイ。
『大丈夫だよ。ありがとう…………ん?』
カナエが萌え死にしそうになっていると、サンジが突然足を止めた。
道から少し外れた森の中を、じっ、と見つめている。
「あそこに美女が倒れている!!」
「エッ?びじょ!?」
「なんだァ?」
『ちょっ!サンジ!?』
どう見ても森の中に人影は見えない。
だが、サンジは美女がいると言う方向に一直線に爆走して行った。
『お、追いかけよう!』
「うん!カナエ、乗って!」
『わーい!!』
「シーザー!お前も来いよ!!」
「なんで俺まで行かなきゃならねェんだ!」
三人は茂みの中へ飛び込んだ。
一体どこまで行ったのか、サンジの姿はもう見えない。
彼に見えた美女とは誰の事だろうか。