第38章 ほっつき歩いてんじゃねェ。
目の前に、ローがいる。
モトキがベラベラと喋っていたら、突然、ドフラミンゴが彼になった。
「なんつータイミングで現れるんだよ……。」
「どけ、トミダ屋。」
「はいはい。」
心配した。
予定通り来ないから。
「オイてめェ、いつからゾロ屋の女になったんだ。」
『い、色々と事情がありまして……。』
少し遅かったが、しっかりとサンジとシーザーを連れて来たようだ。
無事で良かった。
「…………何があった。あいつは誰だ。」
良かったのだが。
(な、何か怖い……。)
『昔、付き合ってた人です……。』
「じゃあ、異世界の人間か。」
『そうです……。』
「あいつの言っていた事はどういう事だ。」
『あ、あれは!嘘も方便と言うか不可抗力と言うか不本意と言うか何と言うか……。』
何があったのか、事細かに説明した方が良いのだろうか。
でも嫌だ。思い出したくもない。
「……これは、あの間抜け野郎の仕業か?」
首筋に手が触れた。
そこには、いくつもの赤い跡が。
『え?……あ、これは、うん……。』
鬼の背中に黒いオーラが見えるのは気のせいだと思いたい。
だが、どう見てもロー船長は完全にご立腹だ。
「成る程な。あいつは異世界の人間で、ファミリーの一人。だから俺達に関わらないように考えた方法が、奴とよりを戻す事だったと言う訳か。」
その通りです!と、カナエはコクコクと強く頷いた。
頭が切れる男は、状況把握が速くて助かる。
「俺を見くびるな。」
『へ?』
「奴が邪魔に入ったくらいで俺の計画は狂わねェ。お前の助けなんか必要無ェんだよ。」
何だそれは。
『そ、そうかもしれないけど、モトキがいると何が起こるか分からないし、敵は一人でも少ない方が良いと思って……。』
「相手はドフラミンゴファミリーだ。昔の男だか何だか知らねェが、お前一人でどうこう出来る奴等じゃねェ事は分かっている筈だ。」
良くやった、頑張ったな、なんて労って欲しいわけではないけれど。
その言い方は無いんじゃないだろうか。
「それとも何だ。血の力があると過信でもしたか?使い方も知らねェ力で何をするつもりだったんだ。調子に乗ってんじゃねェぞ」