第38章 ほっつき歩いてんじゃねェ。
「あー、…………エヘ。」
「いつまでも昔の女に執着するなと言っただろうが、情けねェなァ……モトキ!」
ああ、そうか。
ドフラミンゴが名前を知っていたのは、モトキから話を聞いていたからだ。
しかし何故、顔まで分かったのだろうか。
「写真まで持ち歩いて、そんなにイイ女か?」
「ちょ、若様!言うなって!本人いるし!」
そういうことか、キモい。
「ここで会うなんて運命だし。それに言ったじゃん、この子の中マジでヤバイって。若様も試してみる価値有り!」
『はあ!?』
なんて奴だ。
モトキはドフラミンゴに、カナエの締まりの良さ、濡れ具合の良さを切々と語っている。元々低かったこの男の好感度は、奈落の底に突き落とされた。
「お前そんなにスゲェの?」
『トミダさんまで何ですか!こっち見るな!!』
そしてドフラミンゴもこちらを見ている。
どうする。
これはきっと、モトキの話に興味を持っていたドフラミンゴが私を連れ去り、王宮の豪華なベッドに手足を拘束され気絶するまで犯され続け、目を覚ましても同じ事が繰り返されるという展開……!最悪の場合SMプレイを強要され流血ネタなんて可能性も!
(これはヤバイぞ、助けて、ロー!)
「なぁ!」
トミダがコソコソと話し掛けてきた。
モトキは、若様も一回ヤってみて!と最低な提案をしている。
「ローはどこに行ったんだよ!ドフラミンゴと戦ってた筈だろ!?」
「私が知りたいですよ!」
彼はサニー号に来る筈なのに。
「ね、若様。どう?」
何だか、ローにはずっと会っていない気がする。ここでドフラミンゴに連れて行かれたら、もう彼には会えないのだろうか。
運良く助け出されたとしても、弄ばれた身体を彼はもう抱いてはくれないだろう。
(そんなの嫌だ。絶対、嫌だ……。)
こちらを見たままのドフラミンゴ。
サングラスの奥の眼には、カナエがどのように映っているのか。
顎に手を当てて、何かを考えている。
「……俺はこんな貧相なガキに興味は無ェ。」
おぉっと、そう来たか。
思う通りには行かないもんだ。
「スズキ、何か同情するよ……。」
『いいんです……!私なんかが若様のお眼鏡に適うはずが無いんですよ!』
「どうしたいんだよ、お前……。」