第38章 ほっつき歩いてんじゃねェ。
『サンジ!今、雷が落ちた!あっちにサニー号がいる!!』
「ナミさんだな!急ぐぞ!!さあ!俺にキスをしてくれ!!それで俺のスピードは更に加速す、」『早く!!!!』
二人は今、ドレスローザの孤島グリーンビット方面に向かっている。
近海にいるサニー号がドンキホーテファミリーの幹部に襲われている頃だ。
道中、モトキの件を知ったファミリーの格下部下達に、何度か追われる事があった。
だが、サンジにとっては数匹の蟻に襲われた様なもの。カナエを抱えたままの彼に、奴等はコテンパンにやられてしまった。
サンジに何故自分の居場所が分かったのか聞いてみると、ヴァイオレットが見つけ出したのだと言う。
ギロギロの実の能力、自分の視界を八方4000㎞まで鳥のように飛ばせる【千里眼】を使ったらしい。
船とカナエ、誰がどちらを助けに行くのかゾロと口論になったようだが、サンジのレディは全員、俺が助ける!!と言う意見で纏まった。
否、纏まったと言うよりも押しきったのだろう。
そして、すぐに助けがいる状況のカナエの所へ、サンジは最優先に向かって来た。という事だったようだ。
今に至るまで、彼には散々体調を気にされた。ヴァイオレットから一部始終聞いているのだろうか。
だが幸い、あの媚薬は瞬間的な効果しかない種類だったようで、もう何も身体に異変は感じない。
性欲を発散しきれずサンジを押し倒す。
そんな展開にはならずに済みそうだ。
その件は、あまり気にしないでおこう……。
そんな事より、海の上に見える真っ黒な雲。
その雲から雷が落ちたと言うことは、幹部のアトアトの実の能力者ジョーラを、サニー号・安全確保チームが倒した筈。
『急いで!急いで!』
「カナエちゃん!船にはブルックもチョッパーもいる。トミダもだ。急いでは行くが、そんなに焦らなくても、」『皆は強いかもいれないけど、それじゃ駄目なの!』
いくら彼等でも。
トミダが船長に続く三強の1人と呼ばれていようとも。
到底あの男に太刀打ち出来るとは思えない。
(トミダさんにサンジの代役が務まるものか……!いや、やらせん!!!)
皆の心配もあるが、カナエには、少しズレた感情が含まれているようだ。
足を早めたサンジは、屋根の上を次々と飛び移って行く。