第37章 嫌だなぁ。
『媚薬ネタと言うことはアレしかない、私を性奴隷にする気だ……絶対そうだ……。』
「どこから仕入れた知識なの。変なもの見すぎだよ。」
『ち、違うの?』
「媚薬はね、用法・用量を守って正しく使用して性行為を楽しむ為の補助薬です。悪用はいけません。」
『なにそれ……。媚薬製作会社の営業マンか何かですか。』
「何言ってんの。」
『こんな事しなくてもいいじゃん……。』
「せっかくイチャイチャするなら数倍楽しめた方が良いでしょ。安心して。よく見るビデオみたいに、ぶっ飛ぶような事は無いから。」
『媚薬を盛られた人妻は性欲を抑えきれず、昼間、自宅に訪れた薬品会社のセールスマンに襲いかかる……。』
「やめなさい。」
冗談はここまで、と人差し指で唇の動きを止められた。
その指は首筋を通り抜け鎖骨をなぞり、着物の衿を少し浮かせて、するりと胸の中に浸入してきた。
『んっ』
「いいね、その反応。」
少しの刺激で体が仰け反る。
吐息を含んだ彼の声がぞくぞくとする。
媚薬とは、こんなにも効果があるものなのか。
「カナエ、帯ってさ、どうやってほどくの?」
モトキはどうしていいが分からずオロオロとしている。女の経験は豊富でも、和服女を相手にするのは初めてだったようだ。
しかし、それは駄目だ。
錦えもんの能力で変えてもらった服は、脱いだら消えてしまう。
おそらく、いつものつなぎに戻るだけだが、背中にはシンボルが刺繍してある。
そのシンボルがハートの海賊のものだと言う事くらいは知っているだろう。
ローとドンキホーテ海賊団の関係を、モトキが何も知らないとは思えない。
『着たままが良い……。着物でするのって興奮しない?』
「なにそれ、エロいね。最高。」
モトキは卑猥な笑みを浮かべた。
どうやら、この男の性欲を掻き立てたようだ。唇をひと舐めして見開いた目は狂気さえ感じる。
こいつ、いつから変態になった。
「カナエ……。」
モトキは耳や首筋に、貪るように強く吸い付いた。
力任せに衿を開き、胸の膨らみが露になる。
ツンと上を向いていた突起を見ると、ニヤリと歪んだ下品な口を、息を荒くして近づけた。