第9章 他をあたってください!!
ローは部屋に戻り、カナエの血液の事について調べていた。
血の力について調べる手段や、何か文献等が残っていないか本を読み漁ったが、めぼしい事は載っていない。
「俺の本だけじゃ限界か……」
次の島にはあと2、3日で着く。そこで新しく本を探す事にした。
もう一度水を飲む為、ローはキッチンに向かう。
(あいつはもう寝たか…)
キッチンは綺麗に片付けられていて、カナエはいなくなっていた。
さっきは気付かなかったが、船員達一人一人に毛布も掛けてある。
(放っておけば良いものを……歳がいけば色々と気が回るもんだな……あ?)
ベポの上にカナエが乗っていた。気持ち良さそうにヨダレを垂らして寝ている。
(無防備過ぎるだろ……)
てっきり部屋に戻ったと思っていた。
しかし、いくら色気が無いとはいえ、一応女だ。長旅で船員達は女に飢えている。信頼している仲間達だが、おかしな気を起こさないとは限らない。
しかも、シャチはカナエを気に入っている様子だった。
「危ねェな……しょうがねェ」
何かあってからでは遅い。
カナエを部屋に連れて行く為、横抱きに持ち上げた。
いわゆるお姫様抱っこである。
「チッ……あるあるじゃねェか。」
ローはよく分からない事を呟いた。
「軽いなこいつ…ちゃんと食ってんのか?」
部屋に入ると、ベポとシャチが作ったと言っていた木箱のベッド。
カナエを寝かせる為、ローはベッドに膝を乗せた……その時。
バキバキバギッッ
「ッッ!!」
二人分の体重には耐えられなかった。
間一髪、カナエを落とす事は無かったが、ベッドは見るも無惨な姿になってしまった。
「何で起きねェんだ……」
カナエは起きる気配が無い。
この状態では寝られない。
ローは仕方なく自室に連れて行く事にした。