第8章 宴
『……はっ!今何時だ!?……』
カナエはいつの間にかベポをベッドにして眠っていた。
(こんなに飲んだの久々だなぁ…楽しかった)
他の船員達も、壁にもたれ掛かったり、床に寝転がったりして眠ってしまっていた。
(ローはいないな……部屋に戻ったのかな。
う~ん…まだ酔いが覚めない…)
カナエは眠ってしまいたかったが、船員達をこのまま寝かせて置くと風邪を引いてしまいそうだ。今夜は冷える。
(倉庫に毛布があった気がする…持ってこよう。)
『……これでヨシっと……。洗い物もやっちゃお。』
船員達に毛布を掛けた後、起きたついでなので放置してあった洗い物もしてしまう事にした。
『そんなに量は無いな……すぐ終わらせよっと。』
早く寝たいカナエは集中して洗い物をし始めた。
「何やってんだ。」
『うわっ!!ロ…船長さん!びっくりした…』
いきなり背後にローが現れた。カナエは集中し過ぎて気配に気付かなかった。
「そんな事は明日やればいい。」
『あー…でも起きたついですから。それに明日、絶対に皆二日酔いですよ。やるのしんどいと思うんで今のうちにやっちゃいます!』
「まァいいが……程々にしとけ」
『はい…。ありがとうございます。船長さんも早く寝てくださいね。』
「あァ」
水を一杯飲んで、ローは部屋に戻って行った。
(言い方は冷たいけど、色々と声は掛けてくれるんだよな……)
分かりづらいけど、優しくて仲間思い。
船員達がローに心酔する理由のひとつだろう。
『終わった……。疲れた……。』
見た目よりも洗い物が多かった。カナエは部屋に戻る気力を無くし、またベポベッドで寝てしまった。