第36章 何してんの!?②
ゾロは刀の柄を握った。敵であれば斬る。
「誰だ……!」
光が眩しい。
目を細めてよく見てみると一人はカナエだ。
こちらを向いているが両腕を後ろで捕らえられジタバタともがいているのが分かる。
『離してー!!』
「キミ、ロロノア・ゾロだよね?目の傷なんてあったっけ?」
隣にいるのは随分派手な男だ。
真っ赤なカーネーションの絵が美しく散りばめられた白いシャツ。胸元のボタンは外され大きく開いている。
かけているサングラスはレンズが丸くて、光を虹色に反射させていた。
「あなたは!ドンキホーテファミリー幹部
ソニードれすね!!」
『えっ!?誰!?』
幹部だと言うなら主要人物。
しかし記憶に無い、と言う事は。
おそらく例外は無いだろう。
この男からは自分と同じ空気を感じる。
「あ、分かった?俺も異世界の人。」
黒い物を何も身に付けていないなんて、異世界の人間だとバレても良いのだろうか。
それとも何も知らないのか。
カナエの事に気付いているのは何故だ。黒い服で身を包んでいるのに。
「てかさぁ、カナエだよね?久しぶり。」
はぁ?こんなチャラ男は知らん。
『何で名前を……!離してください!』
分かるわけ無いか、と言い男はサングラスを外した。
その顔には見覚えがあった。
最後に会ったのは10年以上前。いつ頃だったか分からなくなるくらい昔の事。
その頃とは別人の様に、大人の余裕と色気が漂っている。
『うそ……モトキ?』
「覚えててくれた?まぁ忘れられないよねぇ。俺イケメンだし。」
人を小馬鹿にした態度。自信たっぷりな言い方。
昔は、こんな嫌な奴じゃ無かった気がする。
『何してんの!?何でこっちの世界に!?』
「俺が聞きたいよ。」
「何だ!?知り合いか!?」
『そうだけど嫌な予感しかしない!!ゾロ助けてー!!』
「相変わらずだなぁ。」
ちょっと黙って、と口を塞がれた。
凄い力だ。本当にあのモトキだろうか。
『ん゛ーー!!』
「そいつを離せ!!」
「こっわー、そんなに睨むなよ。何?カナエ、ゾロの女なの?」
それはそれで光栄だが違うと否定したくても喋れない。
「そうだとしたら、どうすんだ?関係無ェだろ。」
「関係無いよ。でも、ちょっと妬けるよね。俺、こいつのハジメテの男だし。」