第36章 何してんの!?②
「追うぞ!走れ!!」
『屋根の上なんて無理!たしぎちゃん風で構わないので担いでください!!』
「そんな事まで知ってんのかよ!!」
カナエを肩に担いだゾロは屋根の上を次々と飛び移り愛刀を追いかける。
たしぎちゃんって可愛い?巨乳だった?と言うカナエの質問はもちろん無視された。
しかし、それよりも。
担がれているとゾロの足下が良く見える。横抱きの様な包まれている安心感が無い。
うっかり落とされる事は無くても、ちゃんとしがみついていないと恐ろしい。
この後は彼女にぶん投げられる筈。無事でいられるだろうか。
ターゲットまでの距離は、あと少し。
「だりゃ~~~!!」
『いやああああ~~~!!!』
刀は捕まえた。
だが、投げられた二人は屋根の上から宙を舞う。
「おあ!!」
地面に叩きつけられたゾロ。上からは白い布袋が顔面に目掛けて勢い良く落下してきた。
「イ……イタタタ大変大変っ!!私ったらドジ!!人間に見られちゃう!!」
袋と一緒に落ちてきたのは、小人族の小さな彼女。ブルーのハットを被りブルーのジャケットを着て、体よりも大きそうな丸く膨らんだ尻尾が可愛らしい。
「早く逃げなきゃ人間にっ……あ」
二人の目が合った。
ゾロは初めて見る生き物に混乱。
これが妖精の正体!?オモチャか?と、取り敢えず彼女を鷲掴みだ。
「オモチャとは違うれす!私はトンタッタ族のウィッカ!!私を見た事、秘密にしてくらさいっ!!」
ウィッカは涙目になり、人間に見られたという失態を犯した自分を責めている。
足も挫いてしまったようだ。
地面をドンドンと殴っているウィッカ。
破壊されるレンガ道。
そのパワーも気になるが、ゾロは腕が随分寂しい事に気が付いた。
さっきまで自分に必死でしがみ付いていた筈のカナエがいない。
「おい!女がいなかったか!?」
「え!?女なんて見てないれす!」
「どこに落ちた!?」
先程の投げられた衝撃で、カナエを担いでいた腕を離してしまったようだ。
だが辺りを見渡してもカナエの姿は無い。
運良く屋根の上に引っ掛かっていれば良いが、と上を見た視線の先。
そこには、太陽を背にした二人の人影が見えた。
「麦わらの一味、はっけーん。」