第8章 宴
「「「かんぱーい!!」」」
後から来たローが席につき、宴が始まった。
カナエはベポの横を陣取り、ずっと肉球をぷにぷにしていた。
今度はちゃんと触って良いか聞いてから。
ベポは航海士らしいが、この手でどうやって海図を書いているんだろうか。
ベポを挟んで反対側にはローが座っている。
「カナエさ~ん、飲んでる~?ってかベポ!何だその羨ましい席は!!」
「へへ~良いでしょ~」
『シャチ。飲んでるよ。』
シャチはすでに出来上がっている。
年上だからと言って、カナエの事をさん付けにしている。意外と律儀な奴だ。
『シャチはもう酔ってんの?早いよ。』
「こいつはいつもこうなんだ。」
『あ、ペンギンくんも来た。』
その時シャチの耳がピクッとした。
「何で俺は呼び捨てなのに、ペンギンはくん付けなんだ?俺もシャチくんって呼ばれたい…その方が可愛い。」
『ペンギンくんはお兄ちゃんだから良いの。シャチはキャラ的に呼び捨て。』
何だそれ、と言いながらシャチは寝てしまった。
『もう寝ちゃった。』
「カナエは全然顔に出ねェんだな。」
ペンギンより早いペースで飲んでいるはずなのに、カナエの様子は全く変わらない。
『私、お酒強いよ。船長さんも全然変わらないですね。』
「キャプテンはざるなんだ!そう言えばキャプテンが酔ってるのって見たこと無いなァ」
「俺は酒に飲まれるような事はしねェ」
「「『カッコいい~』」」
「うるせェ」
その後も会話は続き、船員達の余興も始まり、賑やかな夜は更けていった。