第35章 やるしかない。
『なっ、何で……!!』
もう、妖精は居ないと言うのに。
「何でもクソもあるか!!妖精はどこへ行った!道案内しろ!」
『ええ!?私がっスか!?』
「知ってんだろ!?」
正直、どちらの方角に行ったのか、そんな事は分からない。
必死に記憶を呼び起こそうとしていると、後ろ方から血相を変えて駆け寄ってくるサンジの姿が見えた。
「何でカナエちゃんを抱き抱えてんだコラァ!!」
と、叫んでいる彼は置いといて。
この後、踊り娘として登場するヴァイオレット。
彼女に見惚れているサンジを横目に、ゾロはどこに向かって、どこで秋水を見つけ出すのだろうか。
それ以前に、ヴァイオレットはどこで踊っているんだ。
『すいません!分かりません!!』
「あァ!?」
睨むな。睨むな。血の気が引くではないか。
『あの!秋水の気配とか分かんないの!?』
「さっきから探ってるが分かりゃしねェ!お前がいるからか!?」
『うっ!そうかも……。』
こんな影響もあるとは。
そうなると、頼みの綱は自分と言う事だ。
これは責任重大だ、などと考えていると、
丁寧に敷き詰められたレンガ道の向こうから、フラメンコギターの情熱的な音楽と手拍子が聴こえてきた。そこに集まる大勢の人々の歓声は熱気を帯びている。
『あっ……。』
見つけた。
あれは、きっとヴァイオレットだ。
とりあえず、あそこにサンジを誘導しよう。
このままでは彼女に出会う前に、サンジはゾロを追いかけて来てしまいそうだ。
それでは " ヴィオラ " が救われない。
『ゾロ!あっちへ!』
「何だ!?見つけたか!?」
『ちょっと違うんだけど……とりあえず原作に忠実に攻略して行けば糸口が見つかるやもしれぬので、あっちに行こう!』
「違うのかよ!!しょうがねェな!行くぞ!」
「待てっつってんだろ!!!刀の一本や二本諦めろ!!そしてカナエちゃんを離せェ!!」
ゾロはカナエを抱えたまま走り出した。
その方が速いと判断したようだ。
予定通り、サンジは追いかけて来る。
「はっ!!!あれは!!!」
あっという間に人だかりまで辿り着いた。
ヴァイオレットを見つけたサンジはシナリオ通りの反応。
うん、うん。大丈夫。何とかなりそう。
それよりもヴァイオレットってば……
「『キ……キレイだ……!!』」