第34章 そんな気分じゃない。
『芝生ーー!!!!』
「暴れるんじゃねェ!!」
サニー号には芝生の甲板がある。
既に片付けを終え、サンジが居なくなっていたキッチンから、ローとカナエは二人揃って出て来た。
カナエは扉を開けた思うと、甲板へ続く階段を駆け降り、芝生の上でゴロゴロと転がり始めた。
ローが咎めるのは体調を考慮してではなく、
ガキみたいにはしゃぐな、と言った理由だ。
「あ!スズキー。お前からも言ってくれよー」
『どうしたんですか?』
本物のサニー号だ、と改めて感動して恍惚の表情を浮かべていると、トミダから声が掛かった。
ズタボロになり、腕を海楼石に拘束されたシーザーの前で、トミダは座っていた。
シーザーは何を言われていたのだろうか。
眉間にシワを寄せ、露骨に不快そうな顔を彼に向けている。
(あの肌の色は元々なのか?唇はメイクなのか?怪奇……)
「簡単な事なんだけどさ、全っ然やってくれないんだよ。」
「何でそんな事やらなきゃならねェんだよ!!俺は天才科学者だぞ!!」
何をやらせようとしているのだろうか。
しかし、カナエの本能がそれに気付いた。
『まさか…………!』
「笑い方変えろって言ってんだけどさー。」
『私の戦闘力は530000ですって言って。』
カナエも、この流れに便乗する事にした。
「はァ!?」
『もしくはピーマンに謝る歌、うたって。』
「おー。歌え歌えー。」
「なんなんだ!てめェら!!」
「スズキ、これ系のネタ多くないか?」
『好きなんですよ。
私達を操っている女が……。』
「まだやる気かな……。」
『思い付いたらやりますよ。』
トミダとカナエは少々うんざり顔だ。
そして
一行は島の影を見る
巨大な岩壁が並ぶその島を、ローは見据えるように強く、視線を向けていた。
(ついに来た…………!!)
自分がいる事で、また何か
あってはならない事が起きるのだろうか。
しかし、何かあったとしても、
ローが過去にケリをつけられるように
全力を尽くすだけだ。
怖くなんか無い。
………………たぶん。
「着いたぞーーー!!!
ドレスローザ~~~!!!」