• テキストサイズ

例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第34章 そんな気分じゃない。




『……怖い?』

「ああ。」

『そりゃあ……その位置から睨まれて見下ろされたら怖いけど……。』

「そういう事じゃねェ。」

『声とか……エンペラーな方みたいで……カリスマ感半端ないし……。』

「何ブツブツ言ってんだよ。」

『美味しそうな名前の人もやってたよな……。上に立つ者の声なのか……。ゾロも居たな。いや、腹黒眼鏡か。眉毛割れた人も……。その後ナレーターで青の人だし。朝から悶絶だな。
うん。元気出るわ。』

「おい!!」

以前と変わらない、遠い目をしている
カナエ。
はあ、と溜め息をつくロー。

『ロー?』

トミダと話をしてから、
ローはカナエの船での様子を、度々思い返していた。

態度、言葉、表情。
自分の過去を意識しているような事はあった
だろうか。

腕の中で甘い声を漏らす姿。
舌を絡めれば、艶やかな瞳をこちらに向けて
彼女の奥まで入って行けば、必死に自分に
すがり付く。

恐怖で体を強ばらせる事もなく、怯えて目を
そらす事もない。

(何を気にしているんだ俺は……柄でも無ェ。)

他人からどう思われているかなんて、
考えた事なんて無かったのに。

今までに無い感覚。
戸惑いを覚え、イラついていた。

この気持ちにどう対処したら良いのか。
考えを巡らせてみても、出口は見つからない。

たが、今はそれどころじゃない。

新たな時代へ向けて、既に事態は大きく動き出している。
雑念を抱いたままでは、死は間違いないだろう。

そんな時に、突然目の前に現れたカナエ。
このタイミングで帰ってくるとは、馬鹿なのだろうか。

いっそのこと突き放した方が、お互いの為か。

「俺は、お前みてェに綺麗な手はしてねェ。麦わら屋の様に純粋でも無い……。」

"死の外科医"。
そう呼ばれるだけの事はしてきた。

「俺とお前は違う。」

『私……怖いなんて思った事無い。』

「俺の過去を知っていてもか。」

幼き日の自分を知っているならば、
どんな病に侵されて、どんな思いで生きてきて、何をしてきたか知っているだろう。

『過去があってこその今のローでしょ……』

全て受け入れられると言うのか。

(ったく、能天気な奴だな。)

「何故戻ってきた。
死にたくなければ、もう一度帰れ。」
/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp