第33章 サニー号。
確かに間違いではない。
しかし、なんてデリカシーの無い言葉。
それを聞いたトミダが爆笑しているのにも腹が立つ。
サンジを見習ってほしい。
『失礼な!!歳の差縮まったのに!』
「縮まった……?」
あ、そういえば言ってない。
『そうだよ。向こうの世界だと半年しか経ってないから、若干だけど歳の差は無くなったのです。』
だからどうしたと言わんばかりの表情のローだが、カナエにとっては大事な問題だ。
「えー!俺、一週間くらいだけだったぞ!」
それだけで、トミダは過労死したようだ。おじさんめ。
『向こうの世界で忘れ去られてましたよ。存在感無いですね。』
「そういう事じゃねェだろ!俺が戻った時も、スズキだって忘れられてたぞ!お互い様だ!」
『そうですね!それに!お互いただの古株で、とんだ邪魔者かもしれませんね!』
「俺は違うぞ!たぶん!」
トミダは痛いところを突かれた様で焦っている。
「だけどスズキに関しては、後輩から色々クレームが来てるって言ってたぞ!ヨシイが!」
『え!?マジっすか!?』
思わぬ反撃に、カナエは地味にショックを受けた。
「おい!クソ黒マント野郎!レディに向かって何て口の聞き方してやがるんだ!」
トミダとカナエは互いを罵っていただけなのに、サンジが味方をしてくれた。
やはりサンジは女性の味方だ。
トミダはシュンとした。
「ローもだ。カナエちゃんはどっからどう見ても素敵なプリンセスじゃねェか。お前がそう思わねェのはおかしいんじゃねェのか?」
「てめェが何を知ってんだよ。」
「おいおい。睨むんじゃねェよ。」
『うわっ!うまっ!!』
サンジとローのやり取りを他所に、カナエはミネストローネにがっついていた。
職業柄、美味しいものはたくさん見てきて舌は肥えている方だが、人を感動させる様なものは初めて食べた。
『サンジ……すごい!』
「だろ~!サンジのメシはうんめェんだぞ~!サンジ!俺も赤ェのくれ!」
「ミネストローネだ!自分で取って来い!!」
ルフィは腕を伸ばし、ミネストローネへと向かって飛んで行ってしまった。
んまほー!!と言う声がキッチンから響き渡ってくる。
それにしても何だ。
この鼻血がぶっぴ出そうな状況は。