第33章 サニー号。
「ちょっとあんた達!落ち着きなさい!」
「仰せの通りに!ナミさァ~~ん!!」
ナミの一言でサンジはすぐに平静を取り戻し、くるくると回り始めた。
「トラ男!サンジの作るメシは何でもうめェぞー!食ってみろよ!」
サンジの言う事にも一理ある。ルフィが嘘をつくとも思えない。
ローは梅干しをじっと見つめて考え込んでいた。
(ローってば……なんて贅沢な!)
カナエからしたら、サンジの作ったものは米一粒だって食べてみたい。丹精込めて作られた梅干しは、さぞかし美味であろう。
サンジの料理の腕を知らないとは言え、一口も食べようとしない彼に怒りが込み上げてきた。
『ロー。』
突然の声にダイニングにいた全員が驚いた。
声の聞こえた保健室の方に目をやると、扉の隙間から禍々しいオーラが解き放たれている。
『お残しは……許しまへんで……!!』
カナエはどこかで聞いた事のある台詞を吐いた。
「寝てろよ。」
『梅干し食べ終わるまで見てる。』
「チッ」
カナエに説教され、仕方なくローは梅干しを
ちびちびと口に運んでいた。
この女の言う事には弱いのだろうか。
以外なローの一面に、船長以外の麦わらの一味は唖然としている。
「レディーにはこちらを。」
『えっ……』
「あんな所にいたら、体が冷えきっちまってるだろう?これを食べたら暖まるよ。」
(うおーー!!!)
目の前に置かれたのは野菜たっぷりのミネストローネ。
良く煮込まれたじゃがいもや、人参に玉ねぎ。分厚いベーコンも入っていて、ニンニクとトマトの酸味を思わせる香りがカナエの食欲を掻き立てる。
(サンジの料理が食べられるなんて!こんな事があって良いのか!?)
『ありがとう!サンジ!あ……サンジさん。』
「サンジで構わねェさ。トーリと同じで俺の事を知っているんだろう?あいつには腹が立ったが、君になら是非呼び捨てにされたいよ。」
『じゃあ……サンジ……。』
憧れのサニー号に乗れて、船員達と会話ができるなんて。もう死んでも良い。
「俺もカナエちゃんで良いかな?」
『………………是非!!』
「さあ、冷めないうちに召し上がれ。プリンセス。」
(なんて紳士!!!)
「おい、黒足屋。こいつはもうプリンセスなんて歳じゃねェぞ。」
『なっ!』