第33章 サニー号。
「ぶお~~~!!!男じゃね”ェが!!カンジューロー!!!」
「よし!!おれも助けるぞ、そいつ!!」
「お前ら目的を見失うんしゃねェぞ!」
おそらく錦えもんが、ワノ国を出てパンクハザード島までに至った経緯を話したところだ。錦えもんの同心、カン十郎のドレスローザでの勇姿を聞いて、フランキーとルフィが興奮している。
しかし捕らえられたカン十郎を助ける事は、
今回の計画とまた別の話。
そちらがメインになりそうな彼等の雰囲気に、ローの焦った声が聞こえてくる。
(振り回されてる……ぷぷ)
自由奔放な一味に、頭を抱えているローの姿を想像すると何だか可愛い。
「おいおいおい……!こりゃあ、どういう事だ?」
「あァ?」
(ん?)
聞こえてきたのはサンジの穏やかではない声と、おそらくガンを飛ばしているであろう、ローの声。
今は朝食の最中の筈だが、何かあったのだろうか。
だがカナエには、これから始まる会話に心当たりがあった。
(まっ……まさか……!)
「梅干しを残すとはどういう了見だ。」
「昔から口に合わねェだけだ。」
(これは!某コーナーで語られていた、おにぎりに関するエピソードではないか……!)
サンジは食べ物を粗末にする者を許さない。
梅干し一粒でも貴重な食料だ。
嫌いだからと言って残す事は、サンジにとっては論外だ。
「てめェ、梅干しの作り方を知ってるか?」
「知らねェよ。」
「梅はレディの様に優しく扱ってやらねェと繊細で傷付きやすい。使う道具1つだって、キチンと殺菌消毒してから梅に触れさせるんだ。」
サンジが怒りを隠しきれない様子で、煙草をふかしながら梅干しの作り方について語りだした。
野次馬根性丸出しなカナエはベッドから降りて、扉を少し開けた隙間から覗いていた。
「状態を見ながら一ヶ月程度塩漬けた後、天日干しをするんだ。だが気候が目まぐるしく変わるこの海じゃ、それも一苦労だ。」
「だったらどうした。」
「手間隙かかってるって事だ。それに、医者要らずと言われるほど栄養価も高けェ。方法によっちゃ10年は持つ貴重な保存食だ。それを残すとは船乗りの行為とは思えねェな。」
ローが青筋を立てている。
嫌いなものは仕方がない。
好みは人それぞれだ。
しかし、サンジの言う事は正しい。