第32章 大成功。
透き通るようなアクアブルーの海の上。
海坂と呼ばれる波に乗って
勢い良く航路を辿る船が一隻。
船に乗るのは麦わらの一味。
船長の名は
モンキー・D ・ルフィ。
同盟を組んだハートの海賊団・船長、
トラファルガー・ローと共に
愛と情熱の国ドレスローザへと向かっていた。
パンクハザード島を出た翌朝。
ドフラミンゴは七武海を脱退し、ローの作戦は順調に進んでいる。
だが、相手は残忍で狡猾。
実の弟に、破戒の申し子とまで言わせた男だ。
油断は出来ない。
「サンジ、ハラへった!朝メシなんだ!?」
「サンドイッチだ」
「わー!おれ、わたあめサンド!!」
「私は紅茶だけで」
「俺はパンは嫌いだ」
麦わらの一味に感化されたローは
自然と出た自身の言葉にショックを受けていた。
サンジはキッチンに入った。
パンクハザードで奇妙な出会いをした
ワノ国の侍、錦えもんと息子のモモの助。
彼等も加えた船員達のサンドイッチと
食の好みの偏ったローのおにぎりを作る為、
シャツの袖を捲し上げながら、巨大な鍵つき冷蔵庫の扉を空けた。
「ったく……我儘な野郎だ……だが、せっかくだから具は全部変えてやろうか。ツナマヨにおかか……梅干しもあったな。おにぎりにはピッタリだ。」
悪態をつきながらも、サンジは楽しげな様子で冷蔵庫の食材を集めていた。
「あとはマヨネーズ………………ん?」
冷蔵庫の奥に保存してあるマヨネーズを取りに行ったその時だった。
「うおっ!!??」
食材の間の狭いスペースに、小さく丸まった白い塊を見つけた。
一体何の食材だ。
船の食糧に関して、サンジは全て把握しているのに全く見覚えが無い。
しかも、ガタガタ震えて何やら小さい声まで聞こえてくる。
サンジは驚いて、思わず大きな声を上げてしまった。
「サンジ君?どうしたの?」
「ナミさん!……たいした事じゃねェんだが……いや、大問題だな。」
良くみると、白い塊は食材ではなく
白い服を着た、人だった。
『寒い…………。』