第31章 現実
『疲れた……死ぬかと思った……』
カナエは職場の更衣室で座り込んでいた。
自分から言い出した事だが、この忙しさでの連日の勤務はキツい。
『明日から2連休……やっとで休める……』
制服から通勤服に着替えて、シニヨンでまとめた髪をほどいて更衣室を出た。
従業員用出入口でトミダに会う事は無かった。
彼は皆に忘れ去られたままだ。
終電の時間は過ぎていたので、仕方なくタクシーをつかまえた。
(余計な出費だけど……それより早く帰りたい……。)
『ただいまー』
帰ったらまずメイクを落として、
お風呂に入って疲れた体を癒した。
いつも様につなぎに着替えて、一杯やりながらご飯を食べた。
(あの日はご飯も食べずに寝たちゃったんだっけ……。)
それほど疲れていないのだろうか。
これでは、あちらの世界に行けるかどうか疑わしい。
(死ぬほど頑張ったのに……。)
しかし、お酒を飲んだら一気に眠気が襲ってきた。
ローを感じたくて、パンクハザード編からまた読み返そうと思っていた。
だが、もう限界だ。
『駄目だ……!眠い……!』
目が覚めたら自分はどこにいるだろうか。
いつも通りこの部屋で目覚めて、
いつも通りの休日を過ごすのか。
明日はまた、ワンピースを読み返そう。
ベットに倒れたカナエは
そのまま深い深い眠りについた。