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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第31章 現実



元の世界に戻ってから2ヶ月。

慣れない手つきで縫い直したつなぎは、カナエのパジャマになっていた。
唯一、ハートの海賊団と過ごした時間を実感できる物。
これを着て眠ったら、皆の元へまた行けるのではないかと淡い期待を抱いていた。

しかし、そんな都合の良い事は起こらない。
いつも通り部屋で目覚めて
いつも通り仕事に行っていた。

休みの日は、つなぎを洗濯してあげていた。
外には干さなかった。
分かる人が見たら、マニアックなコスプレイヤーが住んでいると思われそうだったからだ。

今日も洗濯が終わると、カナエはワンピースを読み返していた。

トミダはバラティエで仲間になったと言っていたが、どこを探してもクロウマンはいない。

シャボンディ諸島のオークション会場。
足を組んでローが座っている。
横にはカナエがいたはずなのに、いるのは船員達だけ。
キッドと目が合っても、ニヤリと笑って中指を立てただけで、口喧嘩はしていなかった。

『私、本当にここにいたのかな。』

独り言が虚しい。

休日の度に同じ事を繰り返していた。どこか話は変わっていないかと心配しながら、
じっくり読んでも何も変わっていない。

一番気掛かりだった頂上戦争でも、ルフィとジンベエはローに助けられていた。

(良かった……。)

パンクハザード編に入って、少し雰囲気の変わったローが登場した。
やっぱり帽子がおそろいになった。

そういえば、帽子はどこに行ったのだろう。

『ローってば……余裕綽々な顔しちゃって……カッコいいな。』

それから最新刊まで一気に読んでしまった。

血だらけのローを見て、胸が苦しくなった。
コラさんと口にする度、
ローは泣いている様に見えた。

ロシナンテを思うセンゴクさんに言われた言葉で、ローの心は救われたのだろうか。

自分がここにいたら、
何か力になれたのだろうか。

いくら考えても、
全ては漫画の世界の出来事で
何もかもが遠くに感じた。


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