第31章 現実
『まぁ……遠いね。距離なんて分かんないくらい……』
「えっ!もしかして海外!?外国人!?」
『外国……かな?』
外国人なのか?あれは。
「えー!どこでゲットしたんですか!?イケメンですか!?見た目どんな感じですか!?」
ヨシイは鼻が広がっている。滅多に聞かない外国人彼氏に大興奮だ。
第一印象はイケメンだったなぁ。
『見た目……背は高いよ。190以上はあったかな……』
「でか……」
『細身だけど、ちゃんと筋肉もついてて……
刺青入ってたけど……』
「えっ……マフィアですか?」
『違うって……。目付きは悪いけど。でも仲間がいて、信頼……と言うか心酔されてた。』
「絶対マフィアだ。もしくはギャング。」
『何言ってんの。』
「どこの国の人ですか?名前は?」
こっちで言うと、どの国だ?
『国はよく分かんないけど……
名前はトラファルガー…………』
待てよ。
ここで名前を言ったら、きっとヨシイの彼氏に伝わる。
トラファルガー・ローなんて、ヨシイは知らなくても、ワンピース好きの彼が聞いたら、
2次元に彼氏がいると思い込んでいる危ない奴に決定だ。
『ロドリゲス……。』
「何か強そうな名前ですね……。」
その後も、ロドリゲスの話題で盛り上がった。ヨシイは随分酔っぱらってしまって、
外国人とのセックスはどんな感じだと、
しつこく聞いてきたが適当に答えておいた。
でも、ローに抱かれている時の事を思い出してしまった。
静かで色気のある声で名前を呼んでくれた。
薄い唇で体中にキスをして
力強い腕で抱き締めてくれた。
もう、彼に触れる事はできないのだろうか。
「カナエさん!?」
『え?』
勝手に涙が出てきた。
ヨシイは遠距離の辛さに泣いていると思って、そんなに好きなんですか?と、半分面白がっている。
もしも今、船にいたとして
ローの事で泣いていたら。
ペンギンくんは頭をポンポンしてくれて、
ジャンバールは男の胸の内を語る。
シャチやその他大勢の船員は
おいおいと、一緒に泣いてくれる気がした。