• テキストサイズ

例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第31章 現実


こちらの世界に戻ってから2週間程が経過した。
カナエは仕事の合間に、色んな部署に顔を出してトミダの事を聞いて回っていた。
厨房の料理人やフロントスタッフ、ラウンジの奥のカウンターにいるバーテンダー。
トミダと同期入社の社員達だ。

(知らない……か。)

皆が揃って、誰だそれは。と首を傾げていた。仲が良かったはずなのに。
自分だけが覚えている。
違う世界を行き来した共通点があるからだろうか。
確かにそこにいたはずなのに。

(もしかして……)

自分はもう、あちらの世界では存在していない。
トミダが皆の記憶から消えてしまった様に、ハートの海賊の皆は自分を忘れてしまっただろうか。

(ローも……?)

「カナエさーん!こっちですよー!」

仕事が終わった後、ヨシイが聞いて欲しい事があると言うので、新しく出来た居酒屋に2人でやって来ていた。
古民家風のお洒落な店。
ナーニ・カール島でシャチが見つけてきた居酒屋と重なった。

個室風のテーブル席に座ってお酒と料理が出てくると、ヨシイのマシンガントークが始まった。

「あいつらもっと早く動けないんですかね!」

『確かに危機感は無いね。』

彼女が聞いて欲しい事がある時は、だいたい仕事の愚痴。それが1時間程続くと、次は彼氏の愚痴が始まる。

『じ……自己破産!?』

「そうなんですよ!どうしましょう!!」

金にルーズで困った彼氏だとは聞いていたが
ここまでとは。ワンピース好きらしいから、何となく親近感があったのに。

「ところでカナエさん、彼氏出来ました?」

『はっ!?』

「この前の2連休明けから雰囲気変わりましたよ。」

鋭い女め。

しかし、あの男に彼氏なんて言うちっぽけな
肩書きは当てはまらない気がする。

でも何でそう思ったんだろう。
仕事終わったらデートとか、明日はお泊まりとか言って、浮かれていた訳じゃない。

「何か……女度が増したと言うか……物思いに耽ってる顔が色っぽいんですよ。誰か一人を思い出してる感じ……遠距離ですか?」

色っぽいかどうかは別として
すごいなコイツの観察眼。

/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp