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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第31章 現実



何だか長い夢を見ていた気がする。
ハートの海賊として船で楽しく過ごしていた。
必要とされていた。自分が輝いて見えた。
ローが優しい顔で抱き締めてくれた。
可愛くねェって言われても、幸せそうに笑っている自分がいた。

『妄想しすぎ……?』

現実では、いくら仕事をこなしても、結局は誰もが出来る事をしているだけ。
自然消滅してきた男達は、今頃はもう新しい彼女がいる。自分の事はもう過去の事。

無くてはならない存在なんかじゃない。
代わりはいくらでもいる。

『あれ……。』

急に目の前が歪んで見えた。
堰を切ったように涙が溢れ出てくる。

夢から現実に引き戻された。
胸にポッカリ穴が空いたようだとは、きっとこの事だ。

『うぅっ……!』

ストレス溜まってんのかな。

毎日毎日、仕事漬けで嫌になって、
誰かに必要とされたくて、
誰かのたった一人になりたくて、
海賊たちの絆に夢を見てしまったのか。

『私って……痛い奴……。』

泣いたていたら色々と嫌な事を思い出した。
学生の頃の事や、社会人になってからの事。
最後は何で泣いているの分からなくなった。

時間を忘れる程、たくさん泣いた。
きっと酷い顔をしている。

今日から二連休だ。
顔なんてどうでも良いか。

座ったまま泣いたからか、服が濡れてしまった。着替えた方が良いくらい。

どんだけ泣いてんだ。私は。

深く溜め息をついて、Tシャツを脱いだ。
やけに生地の分厚いズボンも脱いだ。

『…………………………ん?』

こんな服持ってたか?
どんな服だっけ。これ。

『あ………………!』

服を広げて驚いた。

色は白。
服の上部はボロボロ。
カナエに合わせて仕立てた筈なのに
少し大きい。
ハートの海賊達がプレゼントしてくれた
皆とおそろいの大事なつなぎ。

『直さなきゃ……。』





夢なんかじゃない。


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