第30章 嫌われる事。
「扱いづらくて面倒くさいんですよ。この世界は。俺の元カノみてー。」
「何だそれは……嫌ならさっさと帰れ。」
「俺はその元カノの事大好きだったのー。
意味分かる?」
「………お前はどうやって戻って来た?」
「いやー……それがさ……」
トミダは何か言いづらそうな、気まずい顔をしている。また戻る為には、何か難しい条件があるのだろうか。
「よく分からないんだよなー……」
ローは額に青筋を立て、トミダの胸ぐらを掴んだ。一番肝心な事が分からないとは。
「ここまで引っ張っておいて随分雑じゃねェか……」
「しょうがねェだろ!夢主様がもう飽きてるよ!!」
「誰だそいつは!!!」
ぐだぐたしているうちに、マリンフォードが微かに見えてきた。
トミダは、あとは自分で飛んで行くと言う。見える距離ならば体力もあまり使わずに済むらしい。
「ロー。スズキが何を喋ったかは分からないけど、あいつの言う事に間違いは無いからな。疑うなよ。」
「………………あァ。」
「お、意外と素直。愛って偉大だねー。」
「黙れ。さっさと行け。」
「ありがとな!」
銃を握り締め、黒いマントを翻し、トミダはマリンフォードへ向かって飛んで行った。
ルフィは自分が死んだと思っているだろう。
早く、愛しい船長の元へ。
「カナエ戻って来れるかな。」
「でも方法が分からないんだろ?それに
カナエさん、戻りたいって思ってくれるのか?こっちは危険ばっかだし……」
戻る手段が分かっても、こちらに帰って来てくれるのだろうか。船員達は、もう会えないのかと落ち込んでいた。
「お前ら気を引き締めろ。マリンフォードへ向かう。海へ潜るぞ。」
カナエは行かないと後悔すると行っていた。
ここで行かずに世界が変わってしまったら、異世界との繋がりが無くなるかもしれない。
「麦わら屋がいるんなら見物に行くのも悪くねェ。それが、あいつの戻りてェと思う世界になるんだろ。」
「アイアイ!!」
「船長!好きだー!」
「うるせェ。」
何故ルフィを助けなければならないのかは、まだ分からない。
たが、体の中の何かが騒ぐ。
カナエの言葉と己の勘を信じて、ローは戦場へと向かって行った。
(必ず戻れ……)
カナエ、お前の居場所はここだ。